街の再生に住宅管理会社の設立を

コミュニティーを維持するサービスの確立がカギ
近年、大都市の郊外を中心として住宅の空洞化が進行している。理由は同じ時期に作られた分譲地の住民の高齢化。地域のコミュニティーが崩壊するとリフォーム会社も存続の危機にさらされる。明治大学理工学部建築学科、園田眞理子教授に郊外住宅地に起きている問題点とその解決法について話を聞いた。
大きい家が住みにくい
――高齢者が多く居住する街が増えていますがどのような問題が出てきているのでしょうか。 園田 歳をとってくると自分たちだけでは家が大きすぎたり、庭木の手入れが大変だったりする問題があります。また、老朽化により子育ての時にはぴったりだった家が住みにくくなってきている支障もあります。とりあえずローンは終わっていて、子供たちが出ていったあとは物置状態になっている家がほとんどです。今後、空き家や空き地が増えてくると街全体に元気がなくなり大変な状況になります。
――具体的には、都市の郊外部にどのような現象が起きているのでしょうか。 園田 20世紀後半、日本でどのように街ができてきたかを振り返ってみると、今起きている問題がわかります。大都市の郊外部は60年前、ちょうど戦争が終わった時は田んぼや畑であり、お百姓さんや地付きの人がいました。今のような住宅地や団地があったわけではありません。それが高度経済成長時から次々と住宅地が開発されていき、今に至るような郊外住宅地が形成されていきました。戸建て住宅ばかりで開発されたところもありますし、4階や5階建ての団地が開発されたところもあります。そういうところは地名で見るとナニナニヶ丘だとかナニナニ台だとか、丘とか台という街の名がついているところが多いです。
40年前の住宅地は70代の住民が中心
――いつ頃開発された住宅がどのような状況になっているのですか。 園田 例えば開発されてから40年以上経過しているところは30代半ばに入居された方が多く、現在70代に差し掛かっています。30年経った住宅地は今60代半ばぐらいの人が多いわけです。30年前というと1980年、40年前では1970年ぐらいの住宅地になります。
――一斉に住民が高齢化を迎えているわけですね。 園田 最初は夫婦と元気な子供たちが同時期に入居したけど、30年、40年経つと家もくたびれてきて、そこで育った子供たちは独立してもっと便利なところなどに住んでいるケースが多いです。家庭はご夫婦だけとか、場合によっては一人暮らしの人が見られるようになっています。中古住宅の流通や、さら地になった土地に新しく建てる人が出てこないと次の世代に受け継がれる未来が見えません。今はちょうどそんな時期です。これから近未来的に言うと東京の西側、横浜、さらに埼玉、千葉などの大都市の郊外部にかなり同じ状況のところが出現しつつあります。
――戦後に開発された住宅地の数が多いため、今問題が大きくなっているわけですね。 園田 ほとんど住宅に手をいれないと老朽化が進み、そこに歳をとった人が住んでいます。開発された歴史を見ればどのくらいの住宅地が問題に直面しているか予測できます。
――実際に問題が顕著に出てきているところはどのくらいあるのでしょう。 園田 日本の場合虫食い状に住宅地が開発されているので、だから必ずしも一様に問題が出てくるのではなく、モザイク状に発生します。そのため住宅地全体を上から見るとよくわからないのですが、局所的に問題に直面しているのです。具体的な大きさで言うと2000~3000棟規模で開発された住宅地でまとまって、高齢化と家の老朽化が進んでいます。
――首都圏以外ほかのエリアでもそういう問題が起きているのですか。 園田 同じ問題が起きていて、たとえば関西圏だと奈良県が問題に直面しています。都心からちょっと離れたところが開発から30~40年経ち状況が変わってきています。(この続きはこちらから…)
---明治大学 園田眞理子 略歴---
- 1979年 千葉大学工学部建築学科卒業
- 1981年 千葉大学大学大学院工学研究科修士課程修了
- 1981年 (株)市浦都市開発建築コンサルタンツ勤務
- 1985年 (財)日本建築センター勤務
- 1993年 千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了
- 1997年 明治大学理工学部建築学科専任講師
- 2000年 明治大学理工学部建築学科助教授
- 2009年 明治大学理工学部建築学科教授
【明治大学 園田眞理子教授】
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