| 「このままでは冬を越せない!」被災半年、進まぬ住宅復旧 現地レポート |
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| 掲載号: 994号(9/20)8-9面 | |||
「このままでは冬を越せない!」被災半年、進まぬ住宅復旧 現地レポート一日でも早く直して住みたいが、職人不足で工事がとても追いつかないという現実‼東日本大震災発生から半年が経過した。発生直後、45万人を超えていた避難者数は大幅に減り、学校などの避難所で今も生活を送っている人は7000人弱と、被災者の生活は一見、落ち着いてきたかのように思える。しかし、その実態はむしろ別の面で厳しさが増しているのが現実のようだ。本紙記者は9月6日から8日まで、震災発生後、5度目となる現地取材を行なった。そこでは推定20万人とも言われる〝自宅避難者〟の厳しい生活実態が浮彫りになった。
静まりかえる町宮城県石巻市の大街道地区。市内中心部から西へ2キロ足らずのこの辺りは比較的古くからある住宅地だが、今、この町は一日中ひっそりと静まりかえっている。遠目には2階建の一戸建てやアパートが建ち並んでいるが、近づいて見ると、そのほとんどが空き家状態になっているからだ。(Cの写真) 石巻港から1キロ程度しか離れていないこの地区は震災で津波の直撃を受けた。港湾地区に大型の工場建物などがあったことから、津波の勢い自体は多少弱まったため、家そのものは残っているケースが多いが、1メートルから2メートルの浸水によって、ほとんどの家で一階部分が使用出来なくなっているのだ。 震災直後、この地区にある実家の家族を救出しようとして大変な目に遭ったという30代の男性に話を聞かせてもらった。 「うちは大街道でも南の所なんですが、県道より南側のこのエリアはがれきが通路を塞いでしまい、震災翌日になっても水が引かず、立ち入ることも出来ませんでした。そのため逃げ遅れた多くの人が亡くなってしまったようです。うちも母親がまだ見つかっていません」 夜にはポツリと灯りも写真(B・C・D)はいずれも現在、石巻市内に残っている住宅地を撮影したものだが、破れた窓を修復したり応急処置だけ施して、住んでいない家が多い。しかし、場所によっては修復を進めてなんとか住んでいる家もあり、夜になるとポツポツと灯りが見えてくると言う。 先の男性が解説してくれた。 「震災直後は皆さん、避難所にいましたが、ゴールデンウィークの頃にボランティアの方々が大勢来て、家の泥出し作業をやってくれました。そこで住民の多くは、壁を張り替えたり、給湯器や風呂を設置して家に戻ろうとしました。ところが、職人不足で工事の目処が全く立たないのです。中には地元業者から『来年まで待ってくれ』と言われて絶望し、親戚の所に引越してしまった人もいました。今、戻って来て住んでいる人も、多くは1階が使えないまま、2階で暮らしていると思いますよ」
壊れたままの自宅に下部の数字は総務省消防庁発表(9月9日)他による被害状況だ。 このうち、死者・行方不明者数、仮設住宅の戸数などはメディアで報道されることが多いが、意外に知られていないのが、全壊または半壊の戸数だ。全・半壊を合わせると実に約28万戸にも及ぶ。それらの人々はいったい今どうしているのだろうか。 一部の人々は5万戸建設された仮設住宅に住んでいるが、実はそれ以外の多くは、壊れたままの自宅に戻り不便な暮らしを送っているのである。 〝自宅避難者〟と地元の人が呼ぶこうした住民の数はなかなか実態が把握出来ない。だが、現地の人々の話を聞く限り、全・半壊家屋の4分の1程度の約7万戸、人数にすると20万人ぐらいはいてもおかしくない。 何ともなくても「全壊」ここで注意したいのは「全壊」「半壊」という言葉の意味だ。上のAの写真は津波によってほとんど基礎以外は全て流されてしまった家だ。同じ石巻市内でもっとも海沿いの住宅地で被害が甚大だった南浜町のものだが、全壊というとこういう状態の家をイメージする人が多いだろう。しかし、実際には、一見被害が少なく見えるCやDの写真の家も実際には全壊または半壊の家がほとんどなのだ。 痛ましい火災事故も発生今回の震災は被害が甚大で、範囲に渡っていたため、エリアごとに「全壊地域」「半壊地域」として指定されているところもある。また「120センチ以上は全壊」など、浸水度合で認定されている所も多く、一見、遠目では何ともなさそうな家でも全壊家屋ということが珍しくないのだ。 だが、いずれにしても、被災住宅は見た目はちゃんと建っていても、中は浸水被害でめちゃくちゃというのが実際だ。床も張ってないし、トイレも風呂もキッチンも使えず、もちろん給湯器もエアコンも使用出来ない。 9月12日には、まさしく今回の取材地である石巻市大街道で、2階に住んでいた家族4人が火事で亡くなるという痛ましい事故も発生した。 * * * すでに季節は秋。東北の被災地の冬は厳しい。「このままでは冬が越せない」という住民の人々の悲鳴にどう応えるべきか。今こそ住宅リフォーム業界に出来ることがあるはずだ。 ----------------------------- 東日本大震災の被害状況 (総務省消防庁9/9)死者 15,960人 行方不明者 4,004人 全壊 115,222戸 半壊 162,457戸 一部損壊 579,476戸 仮設住宅 49,411戸 (国土交通省住宅局9/12) ------------------------------ ◆土嚢袋700袋分を自力で処理 鈴木 裕子さん(石巻市渡波)石巻市の渡波地区にある鈴木和男さんの家は築38年。58坪の敷地に建物は38坪で、1階が3部屋と台所、風呂、トイレ、2階は2室あり、被災前は家族7人で住んでいたという。津波の浸水は住宅地のここも容赦なく襲い、1階は170センチの高さまで浸水してしまったという。奥さんの裕子さんが語る。「幸い家族は無事でしたが、家の始末は大変でした。うちは主人が大工なんですが、震災後、忙しくて自宅の方には全く手がつけられません。だから、床下の泥出しから壁板を剥がすのまで、私と叔父でやったんですよ。」イカやホヤなど腐った魚が床下に溜まり、カビも生えて臭いがすごかったという。土嚢袋で700袋分も出したそうだ。上の写真は現状だが、もちろん住める状態ではなく、現在は仮設住宅暮らし。リフォームの見通しは全く立たないという。
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