繰り返される瓦の落下と塀の倒壊 PDF 印刷 Eメール
掲載号: 978号(5/17)1面   

繰り返される瓦の落下と塀の倒壊


▲屋根の棟部分だけ被害を受けたケースも多い


警察庁の5月12日の発表資料によると東日本大震災の建物被害は全壊8万7613棟、半壊3万5539棟、一部破損25万3242棟となった。今回の震災では津波による建物損壊が多かったものの、瓦の落下やブロックの倒壊など純粋な地震の揺れによる被害も少なくない。阪神淡路大震災でも同様の被害を出しておきながらなぜ、繰り返す結果となったのか。震災の発生で見えてきた住まいの問題点を探った。


和瓦の屋根に被害が集中

今回、瓦被害が多数発生した最も大きな理由としては瓦を全部固定するような耐震性の高い工法が浸透していなかったことにある。ただ、東日本大震災では棟部分のみ落下するといった特徴的な被害も見られた。それはなぜか。実は阪神・淡路大震災後、瓦屋根の耐震性が強化されるも棟部分は明確な基準がなく、以前と同じ工法が引き続き使われていた。そこで、平成12年、全国の屋根工事事業者が加盟する全日本瓦工事業連盟(以下・全瓦連)では棟部分の耐震性、耐風性をアップさせ、震度7にも耐えうるガイドライン工法の推奨を開始。しかし、「あくまでも推奨工法」と全瓦連が話すとおり義務化されているわけではない。そのため連盟に加盟している約3000社の工事事業者がすべて同工法を使用していたわけではない上、元請けとなる工務店やリフォーム会社でもその点を理解しているとは言いがたい。


「全瓦連の加盟者は一人親方が多いです。彼らは工事を受注するだけで精一杯で新しい工法などを学ぶ余裕はありません」といった指摘もある。いかに既存住宅において新工法を浸透させるかが今後の瓦被害を防ぐ鍵となりそうだ。


≪震災で見えた住まいの問題点≫

棟被害が続出した

 ●理由 ⇒ 耐震性の高い工法が浸透していなかった

塀が倒壊した

 ●理由 ⇒ 現行の建築基準法即して塀が作られていなく、改修、補修も進んでいなかった



いまだに危険な状態のまま残された塀も

瓦被害と同様に今回の震災で多数の石塀、ブロック塀の倒壊被害が確認された。1979年、塀の倒壊により11名の死者を出した宮城県沖地震のように大きな震災では、倒壊した塀に挟まれ死傷者を出すケースもたびたび発生している。今回は昔ながらの鉄筋が入らない石塀が残されている茨城県や栃木県で多くの被害が見られており、傾きやひび割れが発生していながら、いまだ危険な状態のまま残されているところもある。

「水戸市などではほとんどの塀が倒れてしまいました」と地元の工事会社は話す。こうした被害は現在の建築基準法に即して塀が作られていないものが多く残されているために発生している。全国建築コンクリートブロック工業会ではこうした危険なブロック塀の改修、補強を呼びかけているが、今までは対策に乗り出す消費者は多くないのが現実だ。

「今回の震災ではブロック塀があったことにより津波被害を防いだ事例も多数聞かれています。家を守るためにもブロック塀診断士などに見てもらうことが重要です」(全国建築コンクリートブロック工業会談)

地域の家守りとしての役割を担うリフォーム会社は将来発生するであろう震災に備えた対策に乗り出す必要があるのでないだろうか。


▲未だ危険な状態のまま残されている塀もある。

 
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