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入浴事故死者は交通事故の3倍、浴室断熱は「まるごと」が効果大

入浴事故死者は交通事故の3倍、浴室断熱は「まるごと」が効果大

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 寒い季節、バスルームが冷えていると、それだけでお風呂に入るのがおっくうになる。最も身に染みるバスルームが無断熱では、快適性に劣ると言わざるを得ない。冷え込みが続くいま、バスルームの断熱について、もう一度検討してみたい。

冬の冷え込みが特に厳しい地域の場合は、浴室暖房を導入し、入浴前に浴室を暖めておけば安心だ(写真提供/パナソニック)
冬の冷え込みが特に厳しい地域の場合は、浴室暖房を導入し、入浴前に浴室を暖めておけば安心だ
(写真提供/パナソニック)

命を救うカギになる、まるごとバス断熱

 専門家などで構成される暖差リスク予防委員会によると、入浴中の事故による死亡者数は、年間1万7000人。交通事故による死亡者4600人と比べると、3倍以上の人がお風呂で亡くなっていることになる。

 入浴中の主な事故原因と考えられているのは「ヒートショック」。急激な温度差が原因で血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こして最悪の場合、死に至る。

 ヒートショックを発生させないための温度差はプラスマイナス3度。他の部屋と浴室の温度差をこの範囲内に収めるのが、命を守るカギとなる。

「あとから」断熱...が難しい

 部屋と部屋の間だけでなく、同じ室内でも、天井と床部分で温度差が生じることがある。浴槽だけ、床だけ、ではなく、バスルーム全体を断熱構造にすることが、ヒートショック予防につながると言える。

断熱材の素材や厚みはさまざまだが、断熱材なしの場合と比べれば保温効果は確実に高まる(写真提供/パナソニック)
断熱材の素材や厚みはさまざまだが、断熱材なしの場合と比べれば保温効果は確実に高まる
(写真提供/パナソニック)

 ユニットバスの場合、あらかじめ壁、天井、床すべてに断熱材が入っているものを選べば、浴室全体の保温性が高まる。断熱材の厚みは10~30mm前後とばらつきはあるが、浴室まるごと断熱を標準装備にしている商品もあり、選択の幅は広がっている。

ユニットバスを覆うように断熱材を敷き詰めることで、ヒートショックにつながる温度差ができにくくなる(写真提供/クリナップ)
ユニットバスを覆うように断熱材を敷き詰めることで、ヒートショックにつながる温度差ができにくくなる
(写真提供/クリナップ)

 浴室は、あとから断熱材を充填することが難しい箇所だけに、新築時や、バスルーム全体をリフォームするときに導入を考えたい。

浴室暖房乾燥機、保温浴槽でエコで快適

 浴室全体の断熱に加え、浴室暖房乾燥機などを組み合わせれば、さらに暖かさがアップ。シャワーだけの時も安心だ。

 お湯が冷めにくい魔法びん浴槽や保温浴槽などを取り入れることで、追い炊き回数を減らせるので、エネルギー代の節約やCO2の削減にもつながる。同じく、年間4000円の光熱費を節約、CO2を69Kg減らせるというデータもある。

保温浴槽は、入浴後数時間たっても、ほとんどお湯の温度が変わらない。エコを実現しながら、入浴の快適性を増すことができる(写真提供/タカラスタンダード)
保温浴槽は、入浴後数時間たっても、ほとんどお湯の温度が変わらない。エコを実現しながら、入浴の快適性を増すことができる
(写真提供/タカラスタンダード)

 浴室内の温度がキープされれば、生活スタイルがばらばらな家族でも、常に暖かな入浴タイムが楽しめる。とかく冬場は「お風呂が冷めるから続けてお風呂に入って」と家族に言ってしまいがちだが、そんなストレスもいらなくなりそうだ。

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