大阪高等裁判所は3月14日、網戸を上下させるためのループ状の紐に首が絡まったことが原因で6歳の女児が死亡した事件に関し、YKK AP(東京都千代田区)と土屋ホームトピア(北海道札幌市)に対して、両親への約5800万円の損害賠償の支払いを命じた。黒野功久裁判長は、両親の請求を棄却した大阪地裁による一審判決を覆した。
※イラストはイメージ
網戸の紐で女児死亡
女児が死亡したのは2019年11月のこと。兵庫県内の自宅で留守中だった。判決によれば、YKK APに対しては使用上の適切な警告がなかったとして責任を追求した。製品には、紐を幼い子どもの手が届かない高さに留めるクリップと注意喚起のタグが付属しているが、出荷時に装着されておらず、説明書は同梱されていなかった。施工を手掛けた土屋ホームトピアの社員に対しても、両親らに安全性に関する説明や注意喚起が不十分だった、としている。そのため両親は女児が死亡する危険性を知りえなかった、子どもに留守を預けた過失は認められない、とした。2007年より同様の事故が多発し、消費者庁が注意喚起をしていたことにも言及した。
今回の判決を受け、YKK APの広報は次のようにコメントを寄せた。「痛ましい事故であり、改めてお悔やみ申し上げます。今回の判決を真摯に受け止め、今後の対応を検討します。引き続き品質安全の維持向上に努めてまいります」。なお、同社によれば2021年4月から操作紐がループ状になっている商品を、ループレス仕様へと変更した、としている。
土屋ホームトピアは次のようにコメントを寄せた。「大変痛ましい事故であらためてお悔やみ申し上げます。当社の施工でこのような事故が起きたことについて大変重く受け止め、引き続き、安全性の向上に努めてまいります」

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