健康・省エネ住宅を推進する国民会議(上原裕之理事長)のシンポジウムが5月7日、東京都内で開催された。
「地域社会の復活による、地方の健康長寿と地域活性化を目指して」をテーマに、住宅と健康に関する基調講演とパネルディスカッションが行われた。
健康・省エネ住宅推進のための国民的合意形成に向けて議論が交わされた
冒頭で上原理事長があいさつに立ち「行政や業界団体の枠にとらわれずに、健康・省エネ住宅の普及に取り組む『推進協議会』が全国20以上の地域で発足した。地方では、医師、歯科医師、薬剤師の3師が公衆衛生を担っているが、建築士の方々の中にも公衆衛生の問題に関わりたい人が大勢いる。この4者が連携し住民を啓発すれば、健康長寿社会が実現し、医療費削減と地域活性化につながる」と語った。
基調講演では、最初に烏帽子田彰・広島大学大学院公衆衛生学教授が「住宅と健康」と題し、日本型成熟社会と住まい方のデザインについて「日本の超高齢社会への対応は世界が注目している。住宅においても積極的に健康を創造する動きが出てきた」などと話した。
続いて伊香賀俊治・慶応大理工学部教授が、山口県と高知県の健康・省エネ住宅推進協議会が行った、住環境と居住者の血圧の関係の調査結果について発表。高知の例では、等級4に断熱改修すると住宅全体で温度差が少なくなり、高齢居住者の血圧の改善が見られたことなどを紹介した。
シンポジウムでは、村上周三・IBEC理事長、江里健輔・山口県立大学学長、調漸(しらべ・すすむ)・長崎大学副学長、井上俊之・国交省住宅局長、原勝則・厚労省老健局長、牧元孝司・林野庁林政部長の6人が登壇した。
このうち、調氏が長崎で発足した推進協議会の取り組みを紹介。長崎県と長崎大、長崎医師会などが参加し、今年度は6都市で啓発事業を実施する。また工務店と連携して、住宅と健康に関する調査研究や人材育成事業も展開する計画だ。調氏は「長崎は温暖で多湿な地域。この地域特有の住宅と健康に関するデータを集め『省エネ・健康リフォーム』という言葉を普及させたい」と述べた。
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