≪テーマ: 窓と暮らしに想うこと≫
生活者視点への転換が必須
◆今週のゲストコラムニスト◆
マテックス 松本 浩志代表取締役社長
1972年 東京都生まれ。窓の卸商社として、地域に密着して商売をするガラス・サッシ店に対し幅広く支援活動を展開。「窓」で「環境」と「健康」の問題解決をすべく日夜活動を繰り広げている。
生活者への訴求が重要
雨風をしのぎ、光を採り入れる役割を求められていた「窓」が、今日では熱エネルギーのロスを軽減し、室内の温熱環境を保つことで大きな期待を寄せられています。「窓」に対策を講じることで、寒暖のコントロールができ、しかもその投資効果は非常に高い。課題は、この事実をどう生活者へ伝えていくかです。
事業者が、売りたいものを売る販売行為に偏重すれば、窓リフォーム市場の広がりは限定的なものにとどまり、自ら興味を持ち、調べ、その効果を知った生活者のみが顧客になるでしょう。「顧客の創造」には遠く及ばない、単なる顕在化されたニーズへの対応となります。
いま改めるべき捉え方は、「窓」が欲しくて「窓」を購入される生活者がいるのではなく、解決策としての「窓」を必要としている生活者が潜在する、という点です。更には、その解決策が的を射ているものかも重要です。
ガラスで言えば、夏の暑さ対策に主眼を置き、居住空間の全面に日射遮蔽タイプのLOW-Eペアガラスを採用することで、一年通じて寒い家にしてしまうようなケースです。生活者が望むことは、夏涼しく冬暖かい住環境であって、夏の涼しさを得るために他季節の快適性を諦めることではありません。日射取得タイプのLOW-Eペアガラスを採用し、夏の暑さへの対応は、日よけを持ち込む等、組み合わせで対策を講じるのが望ましいのです。
また、高性能な「窓」は、閉めているときに効果を発揮するもので、ややもすると「窓」を閉め切って生活する人を増やすことになる恐れがあります。あるべきは、気候が良い時は「窓」を開けて外気を採り入れるなど、自然と上手に付き合うことではないでしょうか。高性能商品を導入すれば全てが解決するわけではなく、住まい手の工夫もあわせて提案し、快適な暮らしを手に入れてもらうことに価値があると思います。
健康はあくまで「目的」
住宅と健康のテーマも徐々にですが身近なものになってきています。しかし、ここでも「健康」が売るための手段になりがちですが、生活者としては、健康維持が目的であって、その手段として「窓」を選ぶわけです。いま、事業者本位の販売から、生活者視点を持ったマーケティングへの転換が健全な窓リフォーム市場の創造に必須と言えます。
私たちマテックスは、会社の存在意義(コア・パーパス)を「地域事業者と共創し、生活者の豊かな住まいづくりのソリューション(窓)をお届けする」と定義しています。社会性の高い「窓」を扱う担い手として、自らのリテラシーを磨き続け、真の社会貢献を追い求めます。

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