リフォーム事業で24億円、大建工業の住宅会社
ダイケンホーム&サービス(大阪府大阪市)は、大建工業グループの住宅会社。どんなリフォーム工事を手掛けているのか、リポートする。
天井には防音仕上げ材「オトテン」を施工
オール大建商品で防音工事
同社の最も特徴的な事業が「エンジニアリング事業」だ。これは耐震や断熱など専門性の高い工事について、ハウスメーカーやビルダーなどから請け負うというもので、同社の真骨頂というべき部門だ。
中でも他社の追随を許さないのが防音工事。同社では、リフォームと新築を合わせて全国で多数の防音工事を行っている。
木軸で下地を組み、吸音ウールを充填
床は二重にし、「DADユカEマット」を敷く
近年、戸建てや集合住宅における外部からの騒音対策だけでなく、外に音を漏らさない防音ルームのニーズが拡大しているという。
「自宅で映画や音楽を鑑賞するなど、趣味の空間をつくりたいユーザーが増えております。そこで一室だけの工事の依頼がハウスメーカーやリフォーム会社から依頼されるんです」(多和田辰彦専務取締役)
これに対し、大建工業は遮音パネル、防音ドア、サウンドデザインウォール、天井材という、防音ルームを構成する建材をすべて製造していることから、同社製品だけで防音ルームを作ることが可能なのだ。工事費を含めた施工費用は200万円にもなる。
ところが、一般の事業者にはこの施工が非常に難しいことから、工事自体が敬遠されがちになっている。
なぜなら、音を室外に漏らさずに楽しむためには、吸音、反射、拡散などの効果を熟知しなければならないからだ。これらのどれか一つでも欠けると、クレームにつながってしまうのだ。
これに対し同社は、東京、大阪、名古屋を中心に、防音施工研修を受講した職方数名をリーダーに配置。全国のあらゆる現場で防音工事を行っている。
天井にも吸音ウールを(左)、石膏ボードを貼り、遮音パネルを施工(右)
自社建材を熟知
そもそも同社は日本初の2×4新築住宅を1975年にリリースした、創業50年の住宅会社だ。新築事業は近年縮小しており、2008年に参入したリフォーム事業が大きな柱。
年商は前期で31億円。このうちリフォームに関する事業が24億円を占めている。リフォームのメーンは、大建工業製品のメンテナンスを行う「アフターサービス」事業だ。年商の6割を占めている。
これは、ハウスメーカーやビルダー、リフォーム会社など、大建工業の製品を使った工事に不具合があった場合に同社が対応し、直すというもので、全国8拠点で展開している。
「グループの住宅会社として製品の特性やクセは熟知しています。工務店の皆さんからや、またはエンドのお客様からの直接の依頼の両方に応えています」(多和田専務)
新築OB8000件に改修提案
そして、もう一つが「リフォーム、リノベーション事業」。これは、大建工業の製品にとらわれず、広く様々な商品を取り扱っている。
引き合いの中心は新築OBだ。8000件のリストがあり、その多くがリフォーム適齢期に差し掛かっている。多いのが外壁、屋根の改修工事。
また、現在増加しているのが、アフターサービスとエンジニアリングの利用客からのリピートまたは紹介だ。リフォーム事業の5割まで拡大してきた。
「大建工業ブランドの安心感がやはり大きいと考えています。高い品質の商品と施工の2つを提供し続けることがリピートにつながっていく」(多和田専務)
グループ全体としては、中期経営計画として、「非住宅」、「海外」とともに「リフォーム」を成長戦略に掲げている。今期の目標は年商35億円だ。
これまで新築住宅への商材提供を中心に行ってきた同グループが事業転換を図り、さらに成長できるか。そのカギは同社が握っている。

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