緑豊かな池のある庭が宅内浸透の役目も果たす

住宅リフォーム・紛争処理支援センターが主催する「第42回住まいのリフォームコンクール」で国土交通大臣賞となったのが、川島宏一郎建築設計事務所(長野県塩尻市)の事例「漆の里焼きサワラの家」だ。重要伝統的建造物群保存地区に指定されている塩尻市・木曽平沢で、床が落ちてしまった建物の性能を現代の基準まで上げ、リサイクル材料などで再生し、設計者自らが移住したという古民家再生の事例である。
水害受けた築約70年の母屋を再生
製材所に眠る材活用しファサード蘇る
(上)隣の出桁造りの建物と調和する外観になった
(下)リフォームされて、昔の面影をなくしていた建物
建物解体の危機感で
再生と移住を決意
神奈川県横須賀市出身の川島宏一郎氏は、ゼネコン勤務を経て信州大学に編入、大学院を卒業したことで長野県にゆかりができた。建物再生に取り組む倉橋英太郎建築設計事務所(長野県松本市)に6年間勤め、2011年に独立をした。
地域に眠る歴史文化遺産を発見・保存・活用して、地域づくりを行うヘリテージマネージャー(地域歴史文化遺産保全活用推進員)育成講習会で、10年ほど前に川島氏は初めて木曽平沢を訪れた。
「漆工の町並みの美しさに惹かれ、『空き家に住みませんか?』と言われて迷いました。ただ、200坪ほどの1つの敷地に6〜8棟建っているというのが一般的。自分には大き過ぎるとその時は断念しました」(川島氏)
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