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・黒川紀章の代表作である「中銀カプセルタワービル」の魅力に迫る
・13階と11階建の2棟のタワーに140のカプセルがボルトで固定されている建物だ
・現在解体危機にある同ビルだが、保存・再生プロジェクトが進んでいる
未来へつなぐ名建築
中銀カプセルタワービル(東京都中央区)
雨漏りしても入居希望者続々
東京・銀座で異彩を放つ「中銀カプセルタワービル」。建築家・黒川紀章の代表作で、1972年に建てられた世界初のカプセル型集合住宅だ。丸い窓のついた四角いカプセルが積み上げられたユニークな外観は一度見たら忘れることがない。10年以上前から取り壊しの危機に瀕しているが、月に約250人が見学に訪れる。20年以上、大規模修繕工事を行っておらず、あちらこちらが傷んだビルがなぜ人を惹きつけるのか。このビルに魅了され、自身も15部屋を購入した中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトの前田達之代表に話を聞いた。
丸い窓のついた四角いカプセルが連なり、迫力のある外観
分譲型ビジネスホテルとして誕生
13階建てと11階建ての2棟のタワー部分に重さ4トン弱のカプセルが140個、ボルトで固定されている。カプセルの中は9平米で、トイレとユニットバスが備わっている。 カプセル同士は接することなく独立しており、着脱可能。この設計には「メタボリズム(新陳代謝)」という思想が取り入れられている。
「20~25年経ってカプセルが古くなったら交換することを前提に建てられました。棟は建物で、カプセルは付属物。取り外して新陳代謝し、長く使っていこうという考え方です」と前田氏は語る。
オリジナルの状態を残した一室。テレビ、電話、ラジオ、オープンリールデッキといった当時最新の家電を備えていた
竣工当時の販売価格は、1カプセル380万~480万円。今の金額でいうと2000万~2500万円だったという。発売と同時に全て売れ、7割はビジネスマンが購入した。
というのもこのビルの本来の目的は、分譲型のビジネスホテル。残業後ここでシャワーを浴びて寝て出社し、週末には郊外の家に帰るという使われ方を主にされていた。当時はコンシェルジュやルームキーパーなどがおり、出前や掃除・洗濯を代行。また、書類作成などをして入居者のビジネスをサポートする「カプセルレディ」が9時から17時まで常駐していた。
ゼネコン倒産で解体を免れた
交換することを前提につくられたものの、オーナー全員からの賛同を得ることが難しく、実際には一度も交換されたことがない。配管などの劣化もひどく、11年前には管理組合でワンルームマンションへの建て替えが決定した。しかしリーマンショックがあり、請け負ったゼネコンが倒産。
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