「2030年の住宅」を模索する「エネマネハウス2014」が1月29~31日、東京ビッグサイトで開催された。5大学と連携企業が多数参加、会場には5棟のモデルハウスが建築・公開され、「フロントランナー的アイデアが満載」(実行委員長・村上周三 建築環境・省エネルギー機構 理事長)となった。
同イベントは経済産業省資源エネルギー庁の事業で、"エネルギー"、"ライフ"、"アジア"の3つのコンセプトの下、先進的な技術や新たな住まい方を提案するモデルハウス5棟が建築・展示された。参加は慶応義塾大学(連携企業27社)、芝浦工業大学(同14社)、千葉大学(同35社)、東京大学(同17社)、早稲田大学(同9社)。
ユニット化で自由配置
今回、水まわり、エネルギー関連の設備のユニット化、自由度の高い設計仕様が目立った。
千葉大学の「ルネ・ハウス」は被災地での復興住宅をイメージし、コンポーネントを最小限に抑え、住宅全体の自由度を極限まで高めていた。
千葉大学「ルネ・ハウス」は設備ユニットを最小化、居住スペースの自由度が高く、国産材を多用。
早稲田大学の「Nobi-Nobi House」は、「新興国アジアの既存住宅は鉄骨造が多いことを意識し」(関係者)、5大学中唯一の鉄骨造でアルミなど金属建材を多用。設備ユニットはコンパクトで「リフォームも強く意識した」という。
早稲田大学 構造体からは切り離されているが鉄骨造のため、複層化しなければ耐震的には問題はないという
芝浦工業大学の「母の家2030」は、銘建工業(岡山県真庭市)の「CLT(クロスラミネーテッドティンバー)」を使った〝シェルター〟型。既存工法と比べても「現場での施工性は非常に高い」(関係者)。居住スペースもユニット化したシェルタータイプで、現時点でCLTは未認可とはいえ「リフォーム商品としても、2〜3年後に実用化を目指す」。現時点でもっとも実現性の高いリフォーム商材だ。
芝浦工業大学 CLTを使ったシェルター型のユニット。耐震性も高い。芝浦工業大の「母の家2030」は通気層を入れた「呼吸する屋根」も好評で、来場者投票の「People's Choice Award」を受賞。
「潜熱蓄熱建材」に注目
慶應義塾大学は唯一南側に大開口部を作らず、風車型の壁面構造で3面に開口部を持つ。構造体にCLTを採用。アジアの高密度都市を想定し、採光と通風を確保した。居住空間は大屋根の下の一室だが、段差、格子状のヒーターで緩やかに区切り、プライベートと一体感が感じられるつくり。
慶應義塾大学。アクティブ・パッシブを併用し、住み手の環境意識を育てるつくり。
東京大学の「ECO CITY X」では、壁・天井・床に潜熱蓄熱材(PCM)を利用し、高い省エネ効果を上げることに成功。特に注目を集めたのが「透光型蓄熱建具」。透明なポリエチレンの枠の片面に透明な断熱材を、もう片方にPCMを入れたもので、昼夜で表裏面の配置を変えて室内気温を一定に保つというもの。
東大「ECO CITY X」で使われた透光型蓄熱建材。柔らかい光が通り、障子のような風合いになるのも好評だった。
意欲的なアイデアが多く出され、展示修了後の表彰式では東京大学の「ECO CITY X」が最優秀賞を受賞。いくつかの大学ではモデルハウスを移設し、実証実験を続けていくという。

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