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「事業承継」テーマに勉強会ジェルコ

2014年2月7日

「事業承継」テーマに勉強会 ジェルコ

大建工業秋葉原ショールーム
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 ジェルコ(東京都中央区)は2月7日、大建工業秋葉原ショールームにて、「事業承継セミナー」を開催した。21人が参加した。

 セミナーでは、実際に事業承継したリフォーム会社2社のトップらが事例報告。1社は「いかにして社員であった現社長に引き継いだか」をテーマに、喜多ハウジング(石川県金沢市)の喜多計世会長が講演。もう1社は「個性の強い親子が分かり合う瞬間とは」をテーマに、ドクターリフォーム・サンセイ(栃木県宇都宮市)の山口慶之助会長と山口弘人社長が講演した。

 また、経済産業省中小企業庁の桜井千鶴氏が「円滑な事業の継承に向けて」をテーマに、具体的な承継の方法について解説した。桜井氏は「対策せず放置していると、いざ事業承継の時に相続をめぐって揉め事が起きたり、後継者が経営ノウハウを知らないといった問題が生じて、最悪の場合廃業にいたることもある」と話した。また、新社長が事業を引き継ぐに当たり苦労した点についてのデータも披露。「経営力を発揮すること」「金融機関からの借り入れ」「取引先との関係維持」などが上位に挙げられている。

中小企業にとって重要な課題
中小企業にとって重要な課題

人物選定テーマに討論

 パネルディスカッションでは、リフォーム事業者の社長交代における問題が提起された。

 ジェルコの中山信義会長は「現在、多くの中小工務店において、安定的な社長継承が課題となっている」と指摘、パネラーからは以下の2点が問題提起された。

  1. 社長にふさわしい人物の選定
  2. 交代後の安定的な会社経営方法

 1.について、喜多ハウジング喜多計世会長は実体験から「もっとも人材育成に優れた人物」を挙げ、ドクターリフォーム・サンセイ山口慶之助会長は「リスクを負って風当たりの強い役割を担える人物」を挙げた。

 2.については、報告・連絡・相談の重要性をパネラーが指摘。特に社長と会長の間の情報共有の必要性が説かれ、社長に多くの失敗を経験させ、社長に対する教育を行うべきとした。「社長が変わって業績が下がるのは当たり前。会社をつぶさない範囲で自由に運営させてみることも必要」(山口会長)

 スムーズな社長交代には、経営理念の徹底が必要と指摘された。「理念を共有している限りにおいては、経営者が社長でも会長でも同じ」と喜多会長は話した。

 中山会長は「事業継承は中小企業にとって重要なテーマです。今回セミナーに参加した経営者に気づきを与えられれば」と話した。

リスクを自発的に負える社員を社長に

ドクターリフォーム・サンセイ

 ドクターリフォーム・サンセイは、約10年前、山口慶之助氏から息子の山口弘人氏に社長職を交代した。弘人氏が社長に選ばれたのは、会社を良くするために率先して行動できる社員だったことだ。

 同社は2002年にTV番組の企画で、弘人氏がリフォームチャンピオンに輝いた。その後、依頼が急増。だが、あまりに多い問い合わせにスムーズに対応できなかったり、「チャンピオンが来てくれない」などといった不満が寄せられた。
「クレームが急増したときに、先頭を切って対応したのが息子だった」(山口慶之助会長)

 弘人氏は「当時は今どこの家で工事が行われているのかさえ社内で情報共有されておらず、不満に対して十分に対応できませんでした。そこで、トラブルがなくなるような仕組みを作りはじめました」(山口弘人社長)

 それから専務職に弘人氏が就任し、さらに会社がより良くなるように社内改革を進めていった。2003年には弘人氏が社長に就任。慶之助氏は会長職となり、3カ月後には運営から離れた。同社は現在、地元栃木県でトップレベルの実績を持つ会社となっている。

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