リノベのメリット、中古の価値を伝えて行く「見える化」し市場の拡大を 《リフォーム産業フェアセミナーリポート》
[セミナータイトル] 激化するリノベーション・中古住宅市場 最新市況動向と今後の展望
リノベーション住宅推進協議会 内山博文会長
417社が加盟するリノベーション住宅推進協議会。消費者が安心して既存住宅の売買やリノベーションがしやすい市場形成のために2009年に設立。内山博文会長が、中古住宅・リノベマーケットについて語った。
「優良なリノベ」を業界を啓蒙
発足して5年になる協議会は、既存ストックの活性化を進めるため、今後のストック型社会に何が必要なのかを読み解いていこう、と立ち上げた団体です。現在は不動産、建築、不動産流通の方にご参画いただいています。
業界への啓蒙として「優良なリノベーション」を「見える化」していく活動を行っています。例えば私たちはどこを工事して、どこを工事しないのかを報告書にまとめることを推奨しています。工事していない所やお客様の目に見えない部分も履歴情報として残します。検査した主要インフラについては保証もしています。その一連の作業を行い、一定の品質のあるものを「優良なリノベーション」としています。
リノベーション業界の現状、その課題
協議会会員の多くは、「一棟まるごと」「マンション一部屋」「戸建て」の買い取り再販をしている会社です。現在は、中古流通だけを行っていた会社が既存住宅を仲介する中で、リノベーションの設計施工をあわせて行うケースもでてきました。リノベについてはパートナー企業や自社内でやるケースもあります。
今、リフォーム、リノベーションに関するネット検索は増えています。「新築マンション」と「リノベーション」というキーワードの検索比率が2年前は、3対1の割合でした。それが今、前者が2から2.5に減り、後者が2.5に増え逆転しています。消費者の関心度は、間違いなくリフォーム、リノベーションに流れてきているというのは明らかです。しかし現実的には受注、売り上げはそこまで増えていません。
3つの課題、まず担い手の育成を
業界をさらに大きくするために何が課題なのか。3つの観点から見ていく必要があります。
まず事業者、その担い手の育成です。新築マンションは、今工事費がかなり高騰し、高額なものになります。必然的に、消費者は中古住宅に流れます。この流れてきた消費者に対し中古住宅の不安を払拭し、購入にまでつなげていくプロセスを考えると、やはりリノベーションの設計施工の方だけではなく、宅建業の方も建築やリフォームを勉強しておくことがチャンスになります。例えば「建物が古いとたいしたリノベーションができないのでは?」という消費者の誤った先入観に答えられる建築知識を持つこと。それが大切です。
続いて、金融、住宅ローンの仕組みを分かりやすくしなければなりません。今までリフォームに関しては、高い金利の融資しかつきませんでしたが、現在はノンバンク系を含めローンの条件は良くなっています。また、検索サイトの活用も必要です。いかにユーザーの目に触れる機会を増やしていくことができるか、ということです。
そして一番のハードルだと考えるのが、消費者に関する「住リテラシー」です。「住まいは買うものだ」という意識を、これまで大量供給の中で伝えてきたのが我々の業界です。そこを打破していく。消費者に「家を何のために買うのか」ということを真剣に考えていただける機会を増やす中で、中古住宅の価値を見直し、メリットが多いと感じてもらえる取り組みが大切です。
伸びる「戸建て」分野に向けたリビタの新事業
私が所属するリビタという会社も10年目に入りました。これまで中古住宅を購入したリノベーションや、最近よく耳にしますシェアハウス、こういったコンサルティングサービスを個人法人問わずやってきました。私どもが今注目しているのは、不動産流通、リフォーム含めて「戸建て」です。まだまだ伸ばせる余地がある。
なぜチャンスかといいますと、年間に供給されたマンションと戸建ての数は大体同じなのですが、過去のストック、東京都という市場で見てみるとマンションより戸建ての方が多いのです。マンションが100万戸強に対して、戸建ては150万戸。では、実際どれくらい流通しているかというと、マンションが1万3000戸流通しているのに対して、戸建ては3000戸弱。どういうことかというと、戸建てはほとんど壊され、土地として流通しているということです。流動性が低い商品になっている。ただストックは絶対にある。
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