ソルトステージングアンドデザイン、ホームステージングを日本で広めたい
ソルトステージングアンドデザイン ホームステージャー 田中正彦氏
中古住宅の魅力高める米国流「演出術」
米国流の「ホームステージング」を日本で広めたい。こう話すのがソルトステージングアンドデザイン(大阪府岸和田市)の田中正彦さんだ。京大、東大大学院で学んだのちに、米・南カリフォルニア大学大学院に留学。その後、ロサンゼルスにある設計会社でデザイナーとして活躍。業務の傍ら米国で中古住宅が売りに出される時に、演出して売りに出される「ホームステージング」に注目。これを日本で広めようと帰国し、昨年から事業を本格化している。日米の不動産取引の違いや中古住宅の演出法について聞いた。
米国は持ち主が「努力」して家を売る
――米国では部屋を飾る「ホームステージング」が普及しているようですね。日本の中古住宅の売り方とは全然違うようです。
日本に帰ってきて思ったのが、中古物件があまりにも汚いまま売りに出されているということ。それとなんでこんなに安いんだろうか、と思いました。不動産会社の方はそれは「相場」というのですが、本当にそういう値段の価値のものなのか、安くしたら本当に買う人が現れるのかと。アメリカでは「ホームステージング」という、高く、早く売るために家をコーディネートして売り出すという方法があります。売り主さん自身も、奇麗な家具を買って配置にこだわったり努力して売る。だから中古でも奇麗だし、高く取引されるものも多い。
――米国ではステージングがどれくらい普及しているんですか。
アメリカの人気不動産サイトに「redfin(レッドフィン)」というものがあるんです。ここでは物件の写真が見られるのですが、ロサンゼルスにある中古物件がどれだけホームステージングされているか調べてみたんです。そうしたら120件中、ステージングされているのが75件でした。約62%。
――きっと日本は1パーセントあるかどうかというレベルでしょう。
そうなんです。これは日本に足りないところだし、改善したいと思って、去年から日本で始めました。父の会社で、化粧単板の製造をやっている「樹望21」という会社の中に、ホームステージング事業をつくりました。
タワーマンションのステージング事例。左は何も演出しないで売却される物件で、一般的な売り方。右がホームステージング後の物件。この物件ではタワマンにもかかわらずリビングが縦長なので「眺め」を十分に楽しめなさそうと思われてしまいがちな点が欠点だったが、写真のようにソファーを的確な位置と向きに置くことで、生活の中心となるソファーからは眺望を十分に楽しめるんだという印象を与えることができる。(写真撮影:ソルト ステージング&デザイン)
143vs40売買の法則とは
――米国では、いつからホームステージングというものがあるのでしょうか。
1972年に不動産屋のバーブ・シュワルツさんが始めたと言われています。よりよく売るにはどうしたらいいんだろう、ということで思いついた。ホームステージングができる人のためのスクールをしていて学ぶ場がアメリカにはいろいろあります。
――教育も仕事もあると。

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