全宅連、不動産業者の抱える2つの不安 《インスペクション元年 2018(4)》
全宅連 小林勇 常務理事 政策推進委員長
約10万の宅建士を会員に持つ公益財団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連・東京都千代田区)。不動産仲介事業者はインスペクションにどう向き合っているのか、小林勇常務理事に現状と課題について聞いた。
売り主にもメリット
――4月に迫る宅建業法の一部改正に伴って告知が義務化される建物診断ですが、既に診断者側の準備は進んでいます。
インスペクションの普及促進を図る方向性そのものは時代の流れであり、ぜひ進めるべきと考えております。私どもとしては、売り主に対しても買い主に対しても、媒介契約の場でしっかりとした説明をするべきと、会員のみなさまに情報発信をしております。
――取材を進めていると、仲介の場で手間と時間が増えるインスペクションは受け入れにくいと考える業者も少なくありません。
たしかに、手間も時間も増えます。売り主側にとってメリットが見えづらい。例えば「インスペクションをすれば確実に価格が上がる」とか「早く売れる」などが現状ある訳ではありません。
しかし、診断を行うメリットもあるんですよ。例えば、売り主に対してはあらかじめ診断をして瑕疵が見つかっても、それを免責事項として明示しておけば、売却後の責任を問われることも無いです。また、特に地方の中古物件では今やリフォームすることが前提ですから、診断をして直さなければならない場所を特定しておいた方が売れやすくなる。
――インスペクションの普及は加速しそうですね。
もちろん課題はあります。重要事項説明や契約書などの書類の作成や記述、説明については研修が必要ですし、特に宅建業法第37条の「確認」は当事者に理解してもらうのは難しいと思います。また、仲介業者自身がインスペクションについて消費者に説明しないといけないわけですから、こちらについても相当研修が必要になると思います。そもそも不動産事業者はインスペクション自体に対してまだまだ不安を抱えているんですよ。
どの業者に頼むべきか
――例えばどのような不安ですか。

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1653号(2025/06/16発行)12面
- 1651号(2025/06/02発行)12面
- 1649号(2025/05/19発行)7面
- 1647号(2025/05/05発行)15面
- 1643号(2025/04/07発行)16面