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塗料メーカーのプレマテックスが語る塗料の「期待耐用年数」とは?

プレマテックス
製品事業部 鈴木淳氏
1670号(2025/10/27発行)24面
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期待耐用年数の概念

その社会的役割と 業界の責務

塗料メーカーが設定し、塗装業者が見積り提案に使用する「期待耐用年数」。それは単なる差別化のための数字にすぎないのでしょうか。それとも、施主の暮らしと資産を守るために欠かせない社会的指標なのでしょうか。塗装施工店向け情報サイト「プレマナビ」を運営するプレマテックス(東京都江東区)の製品事業部の鈴木淳がお話します。

塗り替え必要時期を見失わないために
数字に責任を持つという業界の矜持

塗料の期待耐用年数とは

期待耐用年数を掲げてプランを提案する以上、その意義と重要性を理解しているかどうかは、見積りや提案の説得力に大きく影響することでしょう。

塗料の期待耐用年数とは、促進耐候性試験による相対評価などによって推定された塗膜寿命のおおよその目安のことです。

当社では「期待耐用年数は、塗膜の下地保護機能が著しく低下し塗り替えが必要とされる時期の目安」としています。

こうした目安があるからこそ、施主は住み続けたい年数や予算に応じて適切なプランを選ぶことができるのです。

そのため、ほとんどの塗料メーカーは各塗料の期待耐用年数を算定して公表しています。しかし、この年数を懐疑的に見る声もあります。

なぜ、
誤解が生まれるのか

例えば、自動車のカタログ燃費は、実際に運転する人の走行環境や運転方法によって実燃費は異なってきます。

これと同様で塗料の期待耐用年数も、立地や塗装部位、環境や施工条件によって当然ながら実年数との差異は出てしまいます。

そして何らかの要因で期待値を満たさなかったときに、各メーカーが公表する数字を疑問視する声が現場から上がってしまうのも事実です。

では、期待耐用年数はメーカーの宣伝用の数字にすぎないのでしょうか。 答えは否です。

チョーキングや剥離などの塗膜劣化の事例チョーキングや剥離などの塗膜劣化の事例

「指標」が
果たす重要な役割

例えば、法定耐用年数は、普通自動車は6年、パソコンは4年とされています。しかし実際には、それ以上に長く使用されるのが一般的です。木造住宅も同様で、法定耐用年数は22年ですが、22年で住めなくなってしまっては35年ローンを組むことはできませんよね。

そこで重要となるのが「期待」耐用年数なのです。これは通常の維持管理を前提として、実際に使用できる期間の目安を示すものです。

国土交通省の資料では、木造住宅も適切な維持管理で50〜100年以上の期待耐用年数を持つとされています※1。そして、その維持保全に欠かせないのが外装塗装であり、計画の基準となるのが塗料の期待耐用年数です。これが不明確であれば、修繕計画や資金計画にも迷いが生じてしまいます。

あらゆる製品に耐用年数や寿命の目安が設けられており、それが資産価値や減価償却、さらには買い替えやメンテナンスの指標として社会に根付いているのです。

消費者は
何を求めているか

消費者は、色替えなどのデザイン性以上に「どれだけ長持ちするか=期待耐用年数」に価値を置いて塗装工事を選んでいます。言い換えれば、塗装工事は期待耐用年数を買う行為なのです。

メーカーや施工業者がその本質を差し置いて、金額や保証年数だけが先行してしまっては本末転倒であり、消費者の疑問や不信を招くことになりかねません。

見積書も陳腐化し、提案の説得力もなくなることでしょう。

なぜなら、期待耐用年数が分からなければ、金額も保証年数も適切に決められないからです。

業界の責務

塗装工事の仕上がりや耐久性は、メーカーと塗装業者が積み重ねてきた技術と研鑽の賜物です。もしそういった指標や目標意識が失われてしまえば、メーカーの開発目標も現場の施工管理基準も失われ、結果として業界全体の衰退をも招きかねません。

塗装業界の発展、活性化、生産性向上のためにも、期待耐用年数はなくてはならない重要な指標です。だからこそ、メーカーは検証データに基づいた期待耐用年数を明確に提示し、施工者はその性能を発揮できる施工品質を確保する。

この責任を果たすことが、期待耐用年数を形骸化させないために業界全体で守るべき最低限のモラルと言えます。

メーカーと塗装業者が両輪となり、施主の期待に応える。

それこそが安心と信頼を築く唯一の道であり、塗装業界の責務であると考えます。

※1 国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」

製品事業部 鈴木淳氏製品事業部
鈴木淳氏

会社概要
会社名 :プレマテックス
本社所在地 :東京都江東区
設立年 :2000年3月
事業内容 :建築塗料の開発・製造・販売、技術管理サービス、各種建築資材販売、住宅塗装工事の仲介事業および施工管理事業

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