【特集:リフォーム業界トレンド2020】#02 職人不足対策
【特集:リフォーム業界トレンド】#02 職人不足対策
建築現場では職人が不足している。建設業者の技能労働者数は1997年のピーク時の455万人から、3年前には326万人を割り込み、年々右肩下がりになっている。それと比例するように、外国人技能実習生は右肩上がりで増え、リフォーム事業者でも制度を利用するケースが目立ってきた。
外国人職人が現場を救う
高齢化、労働人口不足をカバー
建設業に携わる外国人数が急増している。国交省と厚労省のデータによれば、2011年時点では外国人数は1万2830人だったが、2018年は6万8604人と5.3倍に、そのうち外国人技能実習生の人数は2011年は6791人だったが、2018年は4万5990人と6.8倍になっている。国籍別で見ると、ベトナム人が2148人と最多で、続いて中国、フィリピンとアジア系が続く。職種別で見れば、鉄筋施工が850人と最多で、リフォームにも関係する左官は272人、内装仕上げ施工は151人、塗装は141人だ。国交省の最新データによれば、建設技能者数は2017年時点で、60歳以上が約4分の1を占め、81万人。一方、30歳未満はわずか11%の36万6000人。
10年後にはこの大半が引退すると予想されており、その影響は計り知れない。
◆外国人技能実習制度活用◆
技能実習生なしで企業成長なし
外国人技能実習生なしでは、企業の成長はできない―――。外壁塗装を行うアカデメイア(東京都新宿区)の吉年和彦社長と、大規模修繕を行うアローペイント(大阪府大阪市)の染矢正行社長が、外国人技能実習生の活用方法とリフォーム業界の未来を語った。
アローペイント 染矢正行社長 × アカデメイア 吉年和彦社長
《アローペイント 企業プロフィール》
アローペイントは2009年に設立され、主に大規模修繕を行うリフォーム会社。現在は東京と大阪の2拠点体制で運営されている。染矢社長自身も、元々現場で活躍する職人だった。6年前からベトナム人外国人技能実習生の採用を開始。常時10人近くが社内で職人として活躍する。直近の売上高は11億円で、今期は17億円前後を見込む。
《アカデメイア 企業プロフィール》
アカデメイアは、1981年創業。関東を中心に、外壁塗装からリノベーションまで、幅広く手掛ける。2018年8月には、支社のある藤沢市に外国人技能実習生対象の実習校「キャリアクルーズアカデミー」を開校。累計で200人以上の技能実習生を輩出している。吉年社長は、昨年夏に代表取締役に就任。キャリアクルーズアカデミーの校長も務める。リフォーム売上高は、4億円。
売上高が4年で3倍に、若い人はネット系に流出
――まずは、両社の簡単な自己紹介をお願いします。
吉年「アカデメイアは、9割以上戸建ての塗装を行い、売上高は4億円ほどです。一昨年8月から、外国人技能実習生用の学校『キャリアクルーズアカデミー』の運営も始め、累計200人以上を送り出しています。同時に昨年夏、ベトナム人女性2人を初めて採用し、現場で塗装職人として活躍していす」
染矢「アローペイントは、大規模修繕をメインとして売上高は約11億円です。外国人技能実習生の採用を始めたのは、5年前です。現在はベトナム人男性が15人、また冬にも新たに3人を採用する予定です。彼らは主に、集合住宅の塗装、防水職人として活躍しています」
――採用したメリットはありますか。
染矢「売上高は4年前から約3倍上がりました。また、日本人のモチベーションが上がりますね。ベトナム人は真面目にやっているので、それを見て日本人も真面目になる。マネージャーもベトナム人の感情の変化、態度を見て対応や接し方を自ら調べるようになったことでマネジメントも良くなりました」
吉年「技術の進歩は目を見張ります。1カ月で、手元の職人より養生や塗装が上手。他の職人からも人気で、引っ張りだこです。また、消費者向けセミナーで彼女たちの頑張りを映像でプレゼンすると、すごい評価が高いです」
――何故、外国人技能実習生を採用し始めたのでしょうか。
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