コスモス・ベリーズ 牧野 達 社長
コロナ禍において、業界水準から頭ひとつ抜きんでた家電販売実績を実現した、ボランタリーチェーンのコスモス・ベリーズ(愛知県名古屋市)。全国に広がる多様な業種の地域密着型加盟店に、ヤマダ電機グループの仕入れ力により月1万円で量販店並みの価格で家電を卸すビジネスモデルは、都市部への外出を控えたいユーザーの心をつかんだ。牧野達社長は「1万円という会費の価値をさらに高めたい」と話す。
便利、安心、安いがそろった地域密着型店舗
――コロナ禍の2020年も家電販売実績は好調だったようですね。
家電業界全般でも売上は前年対比103.4%と好調でしたが、当社は2020年3月からの約1年で、前年比121%の伸長でした。中でも量販店との差が開いたのが3月と4月。量販店は前年対比87%、83.4%に下がりましたが、当社は114%、128%と伸びました。大きな理由は、大型量販店はインバウンドが一気に消え、客足も遠のいたこと。一方で郊外の店舗は軒並み好調でしたね。
――外出自粛という社会背景は同じなのに、なぜ郊外店は好調だったのでしょう?
家電はほしいが人ごみは避けたい、という方が足を運ばれたのだと思います。さらに地域密着型店舗の場合は、信頼できる地元の人が対応してくれる安心感もある。加えて価格が量販店並みであれば、便利・安心・安いの三拍子がそろいます。そうしたメリットが知られたことから、郊外店は現在に至るまで好調をキープしています。
――実店舗ではなく、Webから購入する方も増えているはずですが。
Web販売は確かに大幅に伸びましたが、家電のニーズが一気に高まったことから、他社では品薄状態のEC店も多く見られました。一方で当社は、ヤマダ電機グループのバイイングパワー(仕入れ力)が大きな強みの一つ。安定して商品を提供し続けられたことが、業界平均を上回る結果につながりました。
――今年も家電販売はさらに伸びると思われますか?
コロナワクチンやオリンピック開催についてなど、社会の動きがまだ読めないので、予測が難しいですね。業界としては前年よりやや下降するのでは、と思いますが、当社としては昨年並みの実績は上げたいところです。
コロナ禍でうれた家電商品
会費1万円の価値を底上げ
――予測を立てにくい2021年のマーケットですが、強化される活動などはありますか。
会費1万円のメリットを進化させていく予定です。「アイテム数」「安定供給」「量販店並みの価格」「商品情報」が大きなメリットなのですが、この仕組みを使いこなしていただくには、家電販売の知識が不可欠です。そこで考えているのが、「BFC・Net」という既存情報配信システムの強化。家電の知識不足をカバーできるような教育系コンテンツや、見せるだけで商品の魅力が伝わる対エンド向けのコンテンツ等を現在開発中です。
――学びがありつつ、知識不足もカバーできる仕組みですね。
また、当社には多様な業種の加盟店さんが4070店いらっしゃいますが、業種によって販促手法も家電に対する知識も異なります。ですから、各業種での成功・活用事例を共有できるリモート懇談会も4月から強化します。商売のプラスになる情報を発信する仕組みも同時に作っていきたいです。
――重点的に攻めていきたい業種などはありますか?
電気店、工事店、リフォーム会社などの地域密着型店舗に注力していきます。当社のメインターゲットは高齢者なのですが、この層はECサイトも量販店も活用しきれないという課題があります。それを解決してくれるのが、地域密着型店舗。価格が高い、品ぞろえが悪いといった従来のデメリットをヤマダ電機のバイイングパワーで補えば、「地域での信頼」「量販店のメリット」が融合し、高いスケールメリットを生むはずです。
――サービスレベルと価格が両立されていれば利用しますよね。最後に、中長期的な展望もお聞かせください。
ヤマダホールディングスが持つさまざまな事業と当社の加盟店のマッチングを進めていきたいと考えています。たとえば工務店さんになら、ヤマダホームズが扱っている建材を商材として提供する、金融・保険部門から有益な住宅ローンを紹介する、などです。仕組みづくりは大変ですが、家電に留まらず、あらゆる価値を提供していきたいですね。

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