DATAKIT 喜多庸元 社長
DATAKIT(兵庫県神戸市)が2003年より提供しているリフォーム業に特化した管理システム「SAKSAK(サクサク)」。顧客管理や原価管理、工事管理などリフォーム業に必要な業務の機能が網羅され、社内の情報を一元化できるクラウド型の統合管理システムだ。徹底的な粗利管理ができる仕組みが経営者に評価されており、現在では約450社が導入している。長年リフォーム業界を見てきた喜多庸元社長に、開発の経緯やリフォーム業界への思いを聞いた。
【聞き手/企画開発部 長田京子】
学生時代にシステムを開発
――改めてSAKSAK開発のきっかけを教えてください。
大学在学中に友人のつてで、フリーマーケットの会社のシステム開発依頼を受け、会員の名簿管理やチケット代金の入金管理などができるシステムをつくりました。その実績が認められて、次のお客様を紹介してもらったのですが、それがリフォーム会社だったんです。粗利益をきちっと管理して残していく経営を実現していきたいという要望があり、システムを1998年に開発しました。
それが結構評判が良くて、ほかにもお客様を紹介してもらえる話にどんどんなっていき、そのまま起業することにしました。
――たまたま2社目がリフォーム会社だったことから、今のリフォーム業に特化したSAKSAKが生まれたのですね。
きっかけとしてはそうです。また、リフォーム業界は景気に振り回されないと思ったんです。空き家問題がクローズアップされて、新築の着工件数がかなり減っていた時代で、今後リフォームにもっとシフトしていくだろうという時流予測の話もありました。ここをターゲットに腰を据えていいんじゃないかと思い、それならパッケージにしようとなって生まれたのがSAKSAKなんです。そこから本格的に製品としてやっていくことにしました。
――それが2003年ですね。SAKSAKの特長として粗利管理がとにかく細かいと導入したリフォーム会社の方からも聞いています。
細かい。あれもこれも入力しろ、ここは申請しろだし、結構使いにくいと思うんですよね、ハッキリ言って(笑)。でも家を守っていく仕事で雑にされたら嫌じゃないですか。リフォーム会社さんは、お客様のほぼ最大の財産である住宅を守っていく仕事だと思うんです。家守りの仕事だと思うので、経営を安定化させることが重要だと。そのために粗利益を残していくためのシステムをつくっているというのが私の考え方の根本というか、落としどころなんですね。高粗利の仕事をしてもらうということを主眼にやっているので、そこは他社さんのシステムとは大きく違うところかなと。
粗利益はしっかりもらうべき
――営業マンにとっては容赦ないかもしれませんが、そのおかげで意識が変わったという声も聞きます。
やっぱり一般社員の感覚からすると、100万円のものを売ることに心理的抵抗があるし、こんなに粗利益をもらってもいいのかと思ってしまうところがあると思うんです。でも、それだけの利益をもらうような仕事をしなくてはならないとかその辺もきちんと腹に落としていく。粗利益って別名は付加価値なので。だから付加価値を残す、提供する、そういう仕事をしているという意識を持ってもらいたいです。
――SAKSAKをちゃんと使うと粗利率が自然と上がるものなのですか。
自然と変わりますね。粗利が出せないのは、粗利の設定が低いケースと下がるケースとがあると思うんです。低いケースは、業界水準がこんなものと思っているか、自信がないかなんですよ。あとは、ちゃんといい仕事をしてて粗利をもらっていいのに遠慮しているパターン。高いって言われたら嫌だなとか。「いやいや、そんなことないですよ。いい仕事してるじゃないですか、ちゃんともらったほうがいいですよ」っていうのは伝えたいところです。お客様からちゃんとリピートされてたり、紹介いただけてる業者さんは、粗利を上げていいと思います。あとは工事中に下がっていくところをキッチリ防止する。
――防止するためにアラート機能もあるんですよね。
計画通りに進行してなかったら警告が出ます。
システムだけで全てがうまくいくとは思っていなくて、推奨している使い方としては、週1のミーティングでSAKSAKの画面を共有しながら現場管理をしていく。この商談がどこまで進んでいるかとか、これがちゃんと入力できているかとか、「これ粗利低下しているけど、どう?」とかっていう話をする。アラートが出ていたら担当者に声をかける。そこがありきなんですよね。それをなくすっていう発想もあると思うんですけど、私はそうではないと思っていて、そこはコミュニケーションを生み出すチャンスだと思っています。
効率化でよりクリエイティブな仕事を
――社内でコミュニケーションを図る上で、ベースとなる情報がないと問題が見えてこなかったりすると思うので、システムは導入すべきですよね。
システムは導入すべきですね。特にリフォーム会社は月間の商談件数が多すぎるので。その多い商談を全部管理して、かつ粗利益を残していくとなると、システムを入れたほうがいいです。単に量が多くても、右から左にさばくんだったらいいんですよ。でもリフォームはさっきも言ったように付加価値。お客様に割いた時間あたりの価値なので。
――システムに頼れる部分は頼って、お客様に向き合う時間を作り出すと。
システムの導入で生産性が上がることで残業が減って社員さんが豊かになったり、お客様にもっとクリエイティブなことやプラスアルファの価値を提供していくことができるように取り組んでもらいたい。より人間らしい仕事に取り組んで、よりお客様との接点に時間を割くということをしていただくためにシステムを開発しています。
高単価で高粗利でしっかりリフォームしていて、地域ナンバーワンで30年たっても地域で愛されている会社をつくっていくというミッションなので。そういうリフォーム会社さんをもっと増やしていきたいし、守っていきたいし、成長してもらえるようにお支えしていきたいなと思っています。

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