【特集 : マーケット未来予測】
さくら事務所 長嶋修会長
2020年リフォーム市場予測:9兆円
[プロフィール] 住宅のインスペクション事業を展開。診断数は国内最大級の実績を誇る。
中古リノベの理解進み、省エネ改修当たり前に
「中古住宅+リフォーム」「リノベーション」に対するユーザーの理解が一層進んでいくと思います。加えて融資の充実や、プレーヤーが増大し、成長していきます。なによりも国を挙げての中古市場・リフォーム市場拡大政策、空き家活用が市場を後押しすると思います。
また、都市再生特別措置法の改正によって各自治体が、積極的な街のコンパクト化とネットワーク化戦略を採用できることになり、3月末時点で175の自治体が具体策を検討中です。こうした立地政策と組み合わせて、積極的な中古住宅・空き家の活用が行われることも期待し、リフォーム市場は現況の130%超の9兆円になると予測しました。
市場拡大に必要なことは、省エネリフォームが常識化すること。ドイツのリフォーム単価はおよそ5 0 0 万円といわれるが、それは国策として省エネリフォームが推進されているため。国外からエネルギーを輸入せず完全自給体制を取ることは、貿易・防衛戦略と位置づけられ、そのためにまず極力エネルギーを使わない省エネ性の追求が行われている。
我が国も建物の省エネ性の重要性に気づき、積極的な省エネ性能追求策がとられれば、今後リフォーム市場は飛躍的に拡大する可能性がある。業界はこうしたアプローチから省エネリフォームの重要性について行政や政治、メディアに積極的に働きかけていくべきだろう。
ミサワホームイング 渡邉一広社長
2020年リフォーム市場予測:7兆円
[プロフィール] ミサワホームグループで、首都圏のリフォーム事業を担う企業。売上高は232億円。
市場は緩やかに成長する 中古による需要は不透明
リフォームには潜在需要があり、市場は緩やかに成長すると見ている。しかし、国が目標に掲げる市場の伸びは現状では期待できない。
ポイントは3つある。1つ目は消費増税の問題。今回も駆け込み需要は発生する。しかし、同時に反動減も発生することから、市場の成長要因になるとは考えにくい。
2つ目は省エネ住宅ポイント。現状の利用状況や完了期限を見る限り、今後のリフォーム市場の成長に大きく寄与するとは考えにくい。
3つ目は、中古住宅流通に伴うリフォームの需要。購入時の築年数や不動産価格により、消費者のライフプランに伴って改修の内容が変わる可能性がある。そのため、今後の中古住宅の流通拡大が、リフォーム需要拡大に即つながるかどうかは不明だ。
とはいえ、その状況下においても、当社は今後も受注拡大を実現する。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
小野秀男理事長
2020年リフォーム市場予測:8兆円
[プロフィール] 木造住宅の耐震化を促進する業界団体。事業者の耐震技術の向上などを推進。
中古市場の環境整備が課題
一般的なリフォームは、30代~50代の働き盛り世代の貯金がほとんどないため、今後も団塊世代頼りなると考えられます。そのため市場規模は若干拡大する程度だと思います。また、中古住宅流通に伴うリフォームも2020年までの5年間では、建物評価方法など市場の環境整備が中途半端なため、こちらも若干増える程度だと予測します。
リフォーム市場を拡大させるには、「持てる者」に、お金を使ってもらい、「現世で使い切る」という発想にさせる「仕組み」が必要。例えば、資産税創設、相続税改正など。
長谷工リフォーム 鹿倉克幸社長
2020年リフォーム市場予測:8兆円
[プロフィール] 長谷工グループで、マンションの大規模修繕などを手掛ける。売上高は281億円。
ストック増も耐震性が問題
市場拡大の要因は、既存建物数の増加、1棟当たりの規模の大型化、景気の拡大による法人や個人所有建物のリフォーム需要の拡大があります。さらにリノベ需要の拡大・普及、高齢者の増大に伴うバリアフリー工事の拡大、省CO2等環境対策面から政策の拡大などもあります。
また、住宅ストックは継続的に増えていきますが、地震多発国における耐震性の問題、少子高齢化、首都圏の人口減少、また、建物の高性能化と寿命の長寿化などを考慮すると、リフォーム市場が今後大幅に増加すると考えることは難しいと思います。
土屋ホームトピア 菊地英也社長
2020年リフォーム市場予測:10兆円
[プロフィール] 札幌を地盤に東北、関東などに拠点を展開するリフォーム会社。
五輪景気など市場は上昇
国策、リフォーム・リノベーション市場の成熟、五輪景気などで市場が動き、上昇が見込めます。ただし、国の目標にはいま一歩届かない。理由としては活性化したい側の思惑と、現場側の実状とのズレ、さらに、消費者側のニーズとのズレなどで、目標が達成される物と、そうでない物とに二極化する傾向が予想されます。
また、お客様の希望の多様化や顧客の高齢化、さらに新規企業の流入によって、マーケットの法的整備が今以上に求められます。正しい商いを行う企業においても、業績を伸ばす足かせになる可能性も懸念されます。
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