・断熱によって家事行動を改善できる可能性が見えてきた
・温熱環境が優れた住まいでは、家事を無理なく行える傾向に
・断熱環境の高い家の普及率が高くないことが問題だ
快適な空間が次の断熱改修に
断熱が省エネや健康に対してメリットがあるだけでなく、新たに家事行動を改善できる可能性が見えてきている。すまいの断熱性能と生活価値の関係について研究を進めている駒沢女子大学人間総合学群住空間デザイン学類・橘田洋子特任教授に話を聞いた。
駒沢女子大学人間総合学群・住空間デザイン学類
橘田洋子 特任教授
夏季の家事「無理なく行える」
橘田特任教授が旭化成建材(東京都千代田区)らと夏季の温熱環境と家事行動や意識の関係について行ったアンケート調査の結果では、3つの傾向を読み取ることができる。
1つ目は、温熱環境が優れた住まいほど、夏の家事行動を無理なく行えそうだということ。例えば、「家の中が暑くて料理をするのが億劫に感じる」という質問に対し、「当てはまる」「やや当てはまる」と回答した率は、窓ガラスの性能が良くなるほど、60.3%、54.0%、32.5%と低くなる傾向に。また、掃除、洗濯行為についても同様の結果が得られている。
2つ目は、効率的に掃除や洗濯を行えそうなことだ。「高断熱化すると窓を開けなくなる傾向にあります。外の砂埃や花粉が入らなくなるので、掃除の効率が上がるという声もあります。また、温熱環境が良いと、家の中でも洗濯物が乾くのでいつでも室内干しができる。わざわざ外に出て洗濯物を干したり取り込んだりする煩わしさがないので、ご主人が家事の分担に協力的になったケースもあります」(橘田特任教授)

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