東日本大震災から12年、トルコ・シリア大地震から1カ月が経った。後者の地震では被災した約1万1000棟のうち、6割が倒壊。半数以上の建物の耐震性が確保されていなかったといわれる。我が国はこれを「対岸の火事」と片付けて良いのだろうか。今、日本の住宅の耐震性が改めて問われている。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(東京都千代田区)に、現状を尋ねた。
- 団体概要
- 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は、1998年から地震災害の備えに対する啓発活動や木造住宅の耐震性能向上のための活動を行う。全国約1000社の工務店・リフォーム会社・設計事務所などが参加。これまでに全国で約17万棟の木造住宅の耐震診断、5万棟の耐震補強を実施してきた。
東日本大震災13回忌、我が国の現状を問う
住宅倒壊=「業界の責任」
関東大震災から100年、3.11東日本大震災から12年=13回忌、トルコ・シリア大震災から1カ月が経った。小野秀男理事長は「耐震は選択肢の一つじゃない、土台にあるべきもの」だと語る。
「先日ある会社の社長が『若い社員に学ばせるのが難しい、うちはもう耐震やめます』と言ってきて。とんでもない、リフォーム会社の看板上げていたら耐震のチェックはやるもんです。ちゃんとした会社はちゃんとやっている。新築は建築基準法の水準が高まっていますが、リフォームって確認申請とらないでしょう。そうなると震災があったときに罪が重いのはリフォーム業界」(小野理事長)
小野理事長は阪神・淡路大震災当時、家々が倒壊した光景に衝撃を受けた一人だ。トルコ・シリア大地震は阪神・淡路大震災の20倍の地震だったとニュースを聞いた。「震災が大きくなったのはトルコだから、政治の腐敗が原因という意見もある。けれど、日本で家が倒壊しないとは限らない。人口密度は日本のほうが高いから、死者だって出るかもしれない。地震とともに生きるのはこの国の宿命。来るか来ないかの議論はいらない、来るのが普通なんだとどれだけ高く意識を持てるかが重要。例えばクロス変更の工事だけでも、数万円で面材の壁を強くして耐震性を上げる提案ができるんです」

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