1964年に開催された東京オリンピックの時、ホテルニューオオタニの短工期に間に合わせるために、初めてユニットバスルームが誕生した。それから60年が経過。今では住宅の浴室の約9割にユニットバスルームが使われている。「1つの箱の中に浴槽と洗い場がある」というユニットバスの構造に変化はないが、時代の経過と共に大きな進化を遂げている。
進化を続けるTOTOの最上級モデルユニットバス「シンラ(SYNLA)」
TOTO(福岡県北九州市)の堀海都氏に、同社の最上級モデルである「シンラ」の機能や進化の中身について聞いた。
販売統括本部 浴室・洗面商品営業G 堀海都氏
――ユニットバスが誕生して60年が経過し、特に上級クラスではさまざまな変化が見られます。
堀氏 2013年に浴室の最上級モデルとして「シンラ(SYNLA)」を発売しました。2018年にはフルモデルチェンジを行い、現在に至っています。「シンラ」を発売する際に最もこだわったのがデザインで、目指したのが「光」と「素材」をテーマにした美しい浴室空間作りです。2013年当時は、間接照明を採用し、壁の素材や質感にもこだわりました。フルモデルチェンジ後は、コンセプトは継承しつつ、デザインの他に機能にも力を入れ、例えば、肩や腰からお湯が出るようにしたり、床をボタンひとつで自動洗浄する機能を追加したりしました。照明は調光・調色機能を追加し、お客様にリラックスして頂けるような浴室空間を目指しました。
――フルモデルチェンジによって、かなり商品のイメージも変わりましたね。
堀氏 かなり変わったと思います。2013年当時、私は営業担当をしていましたが、最初に見た時はお客様の感性に響かせるような商品だなと感じました。それに比べて、最新のモデルはトレンドやお客様のニーズを捉えながら、デザインを進化させています。より多くのお客様に満足して頂ける商品になったと思います。
――デザイン面で進化した部分を詳しく教えてください。
堀氏 「光」と「素材」の融合を重視し、シンラの照明の中で最も美しく見えるよう、壁の凹凸や艶感が出るよう仕上げています。この他には、浴槽やカウンターは形状の美しさだけでなく、濡れた時により滑らかで艶やかな表現を追求しました。
――機能面も大分変化があったのではないですか。
堀氏 肩と腰を温かく包み込む「楽湯(らくゆ)」は、たっぷりの水流で全身をしっかり温めることができます。浴槽の裏にポンプが内蔵されており、こだわったのが限られた空間でいかに大流量のお湯を出せるかです。照明は、2013年の初期モデルで「光」に着目し、初めて導入した間接照明ですが、進化した最新モデルは、6つモードを取り入れ、明るさや色温度の変化だけでなく、光の重心位置を変えることで、日の出から日没後のように1日の光の変化を表現しています。さらに、カウンターの下の光が揺らめく「瞑想ゆらぎモード」は、キャンドルの炎のように不規則にゆらぎ、リラックスした気分になれるような空間を演出します。
たっぷりの水流で方と腰を温かく包み込む「楽湯(らくゆ)」
「瞑想ゆらぎモード」では、光のリズムが心と体を癒しの空間に誘う
――オーバーヘッドシャワーも魅力ですね。
堀氏 少ない水量でもたっぷりの浴び心地を実現した「エアインオーバーヘッドシャワー」と、柱状のお湯が体に沿って流れ、温まり効果を実感できる「ウォームピラー」の2つのモードがあります。「ウォームピラー」は途切れのないお湯が、体に沿って流れるので、全身がお湯に包まれているような新感覚を楽しめます。天井から流れるお湯が体に当たってもほとんど跳ねないため、この様子を実際に見てもらうと、皆さんとても驚かれます。
お湯にやわらかく包まれるような新感覚のシャワー「ウォームピラー」
――2018年に現行モデルとなりましたが、さらに新しいバージョンアップは予定されていますか。
堀氏 デザインの部分では2018年に発売後も、モダンな空間を演出できるような壁や天井などブラックアイテムを増やしました。今後も市場のトレンドを取り入れてアップデートしていきたいと考えています。
――「シンラ」の売れ行きはどうでしょうか。
堀氏 おかげさまで販売台数は増えていまして、コロナが明けてからもおうち時間を充実させたいというニーズは継続していると考えております。「シンラ」をご購入された方に「浴室のリフォームで重視したことは」と聞いたところ、「デザイン」「清掃性」と回答される方が多かったです。「シンラ」はデザインだけでなく清掃性にも力を入れており、床や浴槽はボタンひとつできれいが長持ちします。こういった自動洗浄機能もシンラの強みとしてPRしたことが販売台数を後押ししたと思います。
――共働きが増えていますから、時間を有効に活用したいというニーズはこれからも増えそうです。自動化は今後も進化していくのではないでしょうか。
堀氏 まったく掃除しなくていいとまでは言い切れるかわかりませんが、自動洗浄機能をはじめ、掃除が楽になるような機能を今後も増やしていきたいと思います。
自動洗浄機能により、日々の家事の負担を大きく軽減
――光の演出をはじめ、お風呂時間を楽しみたいという層に訴求できていると思います。今後の展望をお聞かせください。
堀氏 キャンプファイヤーやアロマキャンドルなど「暗がりを楽しむ」という時代の変化やリラックスニーズの高まりとマッチしたかなと思っています。今後もデザイン性と清掃性、そしてリラックス性が一体化した商品に進化させていきたいと考えています。
「シンラ」の商品ページ
ユニットバス60周年を記念し、2024年3月19日から企画展を開催
TOTOミュージアム(福岡県北九州市)にて3月19日より「快適な暮らしを追求するユニットバスルーム展~誕生60年の軌跡~」を開催している。1964年の東京オリンピックの開催年、TOTOは過去の常識では考えられない短工期でホテルの浴室工事に挑戦。同挑戦がきっかけで日本初のユニットバスルームが誕生し、現在はホテルやマンションだけでなく戸建て住宅にも広く普及している。企画展では、誕生から60年経過しながらも進化を続けているユニットバスルームの軌跡を紹介している。
企画概要
会期:2024年3月19日~2024年11月上旬予定
開催時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日・夏季休暇
会場:TOTOミュージアム 特別展示室内(福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1)
![TOTO ロゴ](https://www.reform-online.jp/news/20059_14.png)
お客様相談室 0120-03-1010
1917年創立。「水まわりを中心とした豊かで快適な生活文化の創造」という理念のもと、水まわり住宅総合機器メーカーとして新しい商品を生み出し続けてきた100年企業です。 システムキッチン、浴室、洗面化粧台、レストルーム(トイレ)など、さまざまな商品で暮らしを豊かに彩ります。
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