滋賀県東近江市は、相続人がいないなど、朽ちるのを待つしかない空き家の対策に積極的に取り組んでいる。3つの取り組みを紹介する。
11月に解体する予定の空き家の戸建て
財政圧迫リスクを回避
1つ目の取り組みは相続人が覚知できない空き家の略式代執行と、財産管理制度の運用基準だ。これは空き家の相続人がいない場合、解体などにかかった費用を競売などで回収する仕組み。空き家の解体は、所有者や相続人がいなくても、略式代執行を使えば可能だ。
しかし解体にかかった費用を誰が負担するかが問題になる。そこで、家庭裁判所で相続財産の管理人を選任する「財産管理人制度」を活用し、土地の管理権限を得た司法書士などが解体後の土地を競売などにかければ、そこからかかった費用を回収することができる。つまり、解体費用を税金で負担したり、自治体の財政を圧迫するリスクを負わず、空き家問題を解決できるというわけだ。
財産などがない場合でも
2つ目は行政代執行費用の回収方法と、代相続登記の活用についての判断基準作り。
これは空き家の所有者はいるものの、問題改善に協力的でない場合や、所有者同士がもめた場合でも、解体や登記にかかった費用を回収するための取り組みだ。
問題のある空き家に対して指導や勧告を行っても、耳を貸さない所有者は少なくない。このような場合、1つ目の活動と同様、行政代執行を使えば解体は可能だが、そもそも差し押さえる債券や財産がなかったり、相続人はいるが登記をしていないというケースがあり、かかった費用の回収に課題が残る。その課題解決の一つの方法が、債権者が代位権に基づく代相続登記を行い、行政が権限を持って解体後の土地を競売にかけ費用を回収することだ。

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