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大堀商会、クラウド型営業で生産性17%アップ

大堀商会、クラウド型営業で生産性17%アップ

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 新潟県を地盤にリフォーム事業を手掛ける大堀商会(新潟県新発田市)は、ITを積極的に活用することで社員一人一人の生産性を改善している。また「スマイルプロジェクト」という社員の仕事と生活のバランスをより良くする活動にも取り組んでいる。

時間の使い方の改善イメージ

少ない商談時間を改善

 「IT化を進めたことで、営業マンの生産性が17%改善しました」。こう話すのは大堀商会の大堀正幸社長。同社では2012年の4月から社内のIT化を本格化し、より短い時間で高い生産性を上げる効率の良い経営を目指している。

 大堀社長は生産性を高めるポイントを「お客様とのコミュニケーションに十分な時間を充てること」と話す。営業マンがお客さんと親身に相談に乗ったり、十分にプランを練ったり、プレゼンを充実させたりできれば、受注率や単価などが上昇し、生産性が高まるという考え方だ。

 同社長は営業マンがどれだけお客さんとの商談に時間を取っているのかチェックしてみたところ、業務時間のうち2割にすぎなかった。

 「これは少なすぎます。きちんと業務の棚卸しをしてみると、会社と現場の移動時間、見積もり作成、売り上げ管理などに多くの時間を割いていました。もっとコミュニケーションに時間を使わないと」

現場から社内にTV電話できる「リンク」
現場から社内にTV電話できる「リンク」

会社の外で仕事ができる

 商談の時間を増やすために導入したのは、マイクロソフト社のクラウドサービス「Office365」とタブレット端末。これによって、コミュニケーションの時間が従来の2倍になり、生産性が上がった

 「Office365」とは、ワード、エクセル、パワーポイント、リンクといったアプリケーションが利用できるクラウドサービス。営業マンはいつでも持ち歩くタブレット端末やスマホを使ってこのサービスを活用している。

 これらを組み合わせることで、営業の進捗状況把握やスケジュール管理、オンラインでの打ち合わせ、見積もり・図面作成などが会社にいなくてもできるようになった。また、「リンク」という機能を使えば、現場で分からないことや困ったことがあったときには、オンラインビデオを通じて、社内の担当に聞くこともできる。

スマイルプロジェクトでは仕事と生活のバランスを見直す
スマイルプロジェクトでは仕事と生活のバランスを見直す

生活との両立がカギ

 IT化により移動時間と事務作業時間を大幅に削減。例えば、家と会社を往復せずに、現場から直行直帰を推奨。事務作業はタブレットを使って車の中で仕上げたり、業務の進捗は社員と共有できる。実際に営業マンの中には、1日60分ほどの移動時間を半分に減らした者もいる。

 大堀社長がIT化にこだわるのは単に生産性を高めることだけではない。実は、社員の仕事と生活の両立「ワークライフバランス」を実現させたいという思いがある。

 同社では仕事と生活のバランスをより良くする「スマイルプロジェクト」というものに取り組んでいる。これは、社員一人一人に、現状のバランスと、5年後はどんなふうに両立したいのかという自己分析をしてもらうことから始まる。

 例えば事務職リーダーの自己分析では、現状、仕事の時間が7割で、自分の時間が3割だった。これを5年後には仕事を4割にして、生活を6割にしたいと考えている。具体的には「業務効率を上げて、プライベートの割合を増やしていきたい。生活については趣味を持ち、運動の時間を持つようにして楽しい老後を過ごす」と計画している。

 「ただIT化を進めても、社員はなかなか使ってくれないし、会社に浸透しない。でも、自分の仕事をもっと効率化して、自分の時間をつくったり、生活を充実させたいという動機と結びつければ進んで活用してくれるようになる。例え仕事時間が減っても、仕事により意欲的になるので業績は下がったりすることはない」(大堀社長)

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