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既存住宅の価値向上に向けて、製品開発といったハード面だけでなく、企画・販売支援までをワンストップでサポートするリコシス(東京都中央区)。環境に配慮した健康で快適な住まいを普及させるべく、生み出したツールとは。同社FC推進部 課長代理の川野太輔氏に話を聞いた。
省エネリノベーションに伴う性能値や光熱費を算出
──開発された営業支援ツールとは、どのようなものでしょうか。
今回ご紹介したいツールは2点あります。まず1点目は、断熱性能や設備のエネルギー消費量といった所謂、省エネ性能を見える化した「省エネルギー性能レポート」(以下、省エネレポート)です。これは省エネリノベーション(以下、省エネリノベ)によってその住宅の性能が改修前後でどのように向上したのか、光熱費等も「見える化」したツールです。
省エネリノベは目に見えない部分が多く、具体的に何が良くなっているのか分かりにくいと思いますが、このツールはどのような改修をすれば性能が向上するのか示す事ができる手段として開発しました。
レポートでは、年間で削減できる光熱費について改修前後で見える化している
──光熱費の変動が具体的に分かる、ということですね。
そうですね。お見せするサンプルのレポートでは、内窓設置や設備交換の省エネリノベを計画した3LDKのマンションで、年間の目安光熱費が約3万円ほど下がる事を示しています。
請負リノベ事業者様には、計画段階でご活用いただくことで、省エネリノベにかかる費用と、実際にお住まいになられてからの光熱費とを比較して、ご予算を含めたプランのご提案に。
買取再販等不動産事業者様には、仕入時の改修予算算出や販促ツール(なぜ周りの物件より高いのか)としてもお役立ていただきたく考えております。
また、当ツール内では住宅の屋根や壁といった外皮の断熱性能を表す基準値「UA値」や、冷暖房や給湯などの消費エネルギー効率を表す基準値「BEI値」等、一般的に馴染みのない言葉についてもツール内で分かりやすく用語解説をも行っています。
──チェックしたい物件の「省エネレポート」を閲覧するにはどうすれば良いでしょうか。
WEB上に公開する事ができるのでQRコードやURLを通して閲覧可能です。チラシ等を販売物件に設置して案内すれば、多くのエンドユーザーの方々に関心を持っていただけるのではと考えています。
例えば販売する物件で省エネリノベをして一定の要件(省エネ基準適合等)を満たせば「住宅ローン減税」の借入限度の増額にもつながりますし、何より物件の資産価値を高めるための指標になると考えています。
UA値の概算が短時間でセルフチェック可能
──「省エネレポート」の発行は御社に依頼すれば良いのでしょうか。また、必要な書類等はありますか。
はい、弊社にご依頼いただければと思います。先ず、竣工図書等、建物仕様の情報が必要となります。断熱材の仕様、躯体の厚み、開口部(窓)の規格等と併せてリノベ計画段階の情報をいただいております。
省エネリノベ前後の計算、省エネ基準、ZEH水準等への適合をご要望の場合は、併せて断熱改修や交換設備の仕様のご提案をしております。
そして、今回ご紹介するツール2点目は、即時にご自身である程度の性能値を確認していただける、「断熱性能簡易確認シート」です。
物件を仕入れる段階やリノベ計画前では、仕様に関する情報もほとんど揃っていない状況だと思います。その中でも物件所在地や住戸位置、築年数や占有面積、開口部の種類や数などを入力すれば、断熱性能の概算が算出できるセルフチェック用ツールです。
このツールをご活用いただければ、通常、ご依頼からご提出まで一週間程度いただく省エネレポートの内容を5分から10分程度で確認することが出来ます。
──画期的ですね。躯体の厚みや既存断熱の有無など竣工時の資料が無くても分かるものなのでしょうか。
それについては当社がもともと、年間1,100戸以上の中古マンションを取り扱っている買取再販事業者であるインテリックスの一部署だったという事もあり、これまでの情報をバックデータにしていて、建物の年代毎に参考値を算出できる仕組みになっています。
たとえ参考値でもリノベの計画段階で予めシミュレーションできれば物件にもよりますが「内窓を設置するだけで省エネ基準に適合する」など、性能向上につながる省エネリノベの方向性も見えやすくなります。
「内窓設置するなら国の補助金が使えそうだ」「住宅ローン減税の借入限度額も増える」など、いい方向に連想が進んで、省エネ性能の価値をより大きく感じていただけるきっかけになれば理想的ですね。
──この「断熱性能簡易確認シート」は商品化されていますか。
今はまだ開発段階です。当社が運営するフランチャイズに加盟くださっている方々に試験的に公開してご利用いただいております。現在テストを重ねておりますが将来的には頂戴したご意見・ご要望を元に商品化する予定でおります。省エネリノベを計画するに大いに役立つツールですので、ぜひ活用していただければと思っております。
FC推進部 川野太輔課長代理
株式会社リコシス(東京都中央区)
電話番号 03-6262-6633
省エネリノベーションに対応した商品開発やFC事業を通じて、既存住宅ストックの断熱化、省エネ化を推進します。日本の暮らしを快適に、省エネリノベーションをあたりまえに、時代の空気まで変えるイノベーションを起こしていきます。

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