住宅装飾設備事業「ESSENCE(エッセンス)」として、水栓や洗面器などの水回り設備部品を提案する伊吹物産(愛知県名古屋市)は、設立59年で陶磁器、刃物、木工などの雑貨輸出から始まった企業だ。
エッセンスとして提案する洗面ユニット
東海の陶芸技術を生かした皿やティーポットなどの生活雑貨事業「キュジーヌ」
初代社長の熊﨑賀澄氏は岐阜県で教職をしていたが、10人の兄弟を養うべく名古屋市の貿易商社に転職した。その後、輸出先であったドイツ企業より日本の製品の代理店窓口として声が掛かり独立に至った。
現取締役会長の熊﨑晃彦氏は「先代の会長が1970年代には東南アジアにも販路を広げ、輸入品も取り扱っていました。その当時私は学生で輸入品が大量に在庫された倉庫管理の手伝いをしていました。見たことのない宝を扱っている気分でした」と語る。
転機は、1985年のプラザ合意による急速な円高だ。輸出環境が悪化し、現会長の熊﨑晃彦氏が国内向けに新たな事業としてソフト開発などを行った。その1つとして地元の陶芸技術を生かした皿やティーポットなど生活雑貨事業の展開を開始し、注目を集めた。
そのなかでもヒットした取り換え用蛇口ハンドル「PIVOT(ピヴォ)」をきっかけに、住宅装飾設備事業を開始。日常生活にひと手間加えることで、遊び心のある空間を楽しんで欲しいという思いからエッセンスと名付けた。
発売当時、協力会社の小島合金が特許を取得したどのメーカーの水栓にも対応するネジを内蔵した陶器製の水栓ハンドルは珍しく、その柄に合った洗面小物の展開も開始。次第に同社オリジナル水栓の製造や洗面器のデザインを手掛けるようになり、現在では給排水やガーデニング水栓など多岐に渡るラインナップとなっている。
「当社の製品は、水栓だけでなくコンセントカバーや雑貨もブランドで統一できることを強みに100人中1人のこだわりを持つ方に向けて展開しています。今後、リフォームはもちろん賃貸物件など趣向をこらす必要のある案件への納入を目指して提案を進めたいです」(熊﨑会長)
取締役会長 熊﨑晃彦氏

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