イン・ハウス建築計画 代表 中西ヒロツグ 氏
リフォーム業界への大手の参入が増える中、中小リフォーム事業者は、モノ売りからの早急な脱却が求められる。朝日放送の「大改造!!劇的ビフォーアフター」に8度出演実績を持つ、イン・ハウス建築計画の中西ヒロツグ氏にリフォーム設計における必要な要素を聞いた。
自分の家が基準となる
――リフォームの設計における最も必要な要素とはなんでしょう。
想像力ですね。お客さんはどんな生活をして、どんなこだわりがあるか。そこからどんなこだわりがあるかを想像し、探っていくことが必要です。大手さんなどでデスクワークを中心とする設計の方などは実際に部屋を見てなくて、想像ができないので、私が研修を行う際は、必ず営業に同行するように言っています。
――想像力を培うポイントとは。
生活をいろいろと見ることだと思います。失敗することも重要ですね。自分の世界しかないと、工夫する範囲が限られます。他人の暮らしをみて学ぶしかないのです。そして、他人事ではなく、「こうすれば使いやすくなる」など、自分のこととして置き換え、考えることです。
――何から取り組むといいですか。
昔、大学の非常勤講師をした際、生徒に自分の家の実測をさせました。例えば、座り心地のよいイスがあった際、その椅子の高さが何センチなのか、他人の家と比較して、うちは狭いとか、理解することが必要です。
そして、自ら基準ができたあと、そことのギャップで他人の暮らしを見ていきます。例えばお金持ちの人の家で、洗濯機と洗濯物干しが離れていた際、使いにくいと思うじゃないですか。聞いてみるとお手伝いさんがいるから大丈夫と。疑問に思うことをどう解決しているのか、その蓄積が能力となります。
――建築事務所の方とリフォーム会社の設計では能力に差があると感じますか。
能力の差というか、リフォーム会社の方はめちゃくちゃ忙しいじゃないですか。自分を研鑽する時間が取れてないと感じます。設計事務所に入るとまず、イチから図面をおこすのですね。すごく時間がかかるのですが、寸法を1つ1つ決める際にもその設計の根拠を考えながら作ります。すると、他の方の図面を見た際になぜこうしたかの理由が分かるようになってきます。ですから、まず、1件でもイチから図面を書いてみるといいと思います。
――資格は必要だと思いますか。
何もないと厳しいですが、インテリアコーディネートや施工管理など、基本的なものを学んでいれば問題ないですね。ただ、構造と法規は学ばないといけません。
――想像力の他に必要な要素は何でしょう。
相手に理解してもらう力。こんな暮らしができますよとうまく説明できる能力ですね。なぜこうしたのかの説明が不足していると感じます。ぼくなどは一生懸命説明する。中には、説明が長いなと感じている人もいるでしょうが(笑)。価値を伝えることが重要です。
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