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リフォーム市場を伸ばす方法とは?【キー...

リフォーム市場を伸ばす方法とは?【キーパーソンセミナーリポート】

ツクルバ × ベツダイ
中村真広代表取締役CCO × 林哲平取締役
1248号 (2017/01/17発行) 17面
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 リフォームのプロが業界の課題について語るキーパーソンセミナー(本紙主催)。ツクルバ(東京都目黒区)の中村真広代表取締役CCOと、リノベーション全国ネットワーク『RE住むリノベーション』のブランディングを行うベツダイ(大分県大分市)の林哲平取締役は、マーケットや業界の問題について議論した。

ベツダイ 林 哲平取締役 × ツクルバ 中村 真広CCOベツダイ 林 哲平取締役 × ツクルバ 中村 真広CCO

【 テーマ(1) マーケットの課題 】

多様な価値観への対応が必要

――リノベーション市場はこれから拡大すると思うのですが、どういった取り組みに拡大の可能性があると思いますか。

中村 消費者の価値観がすでに多様になってきていますが、それに対して事業者側としてどういうふうに情報を届けるべきなのか、非常に考えなければならない、と思います。

 例えば、ネットで言えば、多様な価値観にフィットするような検索の物差しもまだまだないんです。これまでユーザーはスペックや築浅だけで大丈夫だよね、と思っていたわけです。しかし、価値観の多様化によって同じ築30年でも管理が行き届いたマンションなのか、そうではない管理体制なのかもそうですし。そういった情報がユーザーの趣味嗜好に合うかというところで、物件の選択が変わってくる。

 ただ、ユーザーの趣味嗜好に対応しすぎると生産性が落ちる。なので、ある程度は既製品で、そこから先はユーザーの手でカスタマイズしてもらう。既製品のベースがあって、その上にユーザー自らカスタマイズする事例が増えるのではないかなと思いますね。

 私はリノベを伸ばすのは、本来は国策だと思います。ただ、国のストック市場に向けた取り組みとユーザーの考え方にはかい離があると思ってて。現状では、我々プロが5~10年かけてユーザーを変えていく流れなのかなと思ってます。

 新築に比べてリノベーションの優位性って何か、と考えると、現状では、私は立地の希少性と価格の優位性しかないと思ってるんです。

――ユーザーを変えていくという話がありました。中村さんはいかがですか。

中村 学生時代がポイントかな。地方から出て大学生活をして一人暮らしを始めました、という時に面白い家に住む経験がないと、就職していざ買う時に、面白い家づくりなんてできないですよね。ちょっとした台を作るとか、壁を塗ってみるとか、小っちゃい所からでもDIYを始めればいいんじゃないでしょうか。

 子供の頃、餅つきってするじゃないですか。でも大人になるとしなくなりますよね。

 それと同じで、家についてあまり考えないタイミングでどれくらい身に付けたレベルを守っていくか、っていうのがすごい重要。

中村 それ事例ありました。我々「CO-BA(コーバ)」ってシェアオフィスやってるんですけど、以前、広島の呉高等専門学校で、1泊2日でDIYのワークショップをやったんです。そこで、15~20歳までの彼らがDIYで自分たちのキャンパスの1部を作ったんです。そうすると高校生ってそういうのを作ったことがないのが大半なので、それ一つが教育プロセスで、目が見違えるようになったんですね。

 学校教育で取り入れるのは一番いいですよね。

 DIY甲子園とかやった方がいいんじゃないですか。ただDIYについて思うんですけど、DIYをしてそこにやりがいを見つけていくって、高いIQを求められる話だと思うんですよ。僕は、マーケットの捉え方が広告メーンなので、IQの高くない人にも刺さりやすくするためには、そこにひと手間加えるとかが必要だろうと思う。

大学にリノベ学科の開設を

――今リフォーム事業者で中古再販やワンストップに取り組むとかありますが、どこに問題点がありますか。

中村 建築と不動産ってかけ離れているじゃないですか。両方できる人材って不足してませんか。

 問題になるのは実は建築側の人間。ベンチャー的思考って不動産側の人間には多くて。でも建築側の人間って、どうしても固い。古い体質が全然抜けきらない。

中村 建築学科のせいじゃないですか。僕も建築学科の出身ですけど。建築学科にはロールモデルがないんですよ。リノベーションを専門にする学科も教授もいない。

 建築学科出たら建築家だし。設計事務所とかゼネコンに就職するじゃないですか。リフォームのロールモデルが全くかけ離れてるじゃないですか、建築と不動産のあいのこって。でも、教えられる人もいない。なので、いまだに古い体制で建築学生は世の中に放り出されてるんですよね。

――リノベーション科を作るべきってことですか。

 ぜひ。そこは絶対必要ですよ。だって、有名な建築家の先生目指して、すべての建築学科の生徒が習うんでしょ。例えば世帯年収400万円くらいの人が住みたいような家を作れるか、多分難しいと思う。

 住むに当たって実用性がなさすぎるというか。もっとライスタイルにとってエンターテインメント性を取り入れるべきだし、住みやすさというものを教える教育機関があればなぁ。

リフォームとリノベの境ない

――業界の問題点、ここが良くないところってありますか。

中村 リノベ済みとうたっている物件の画像が、ホームズやアットホームで調べると画像が載ってないんですよ。これらってクライアント入稿型だったりするじゃないですか。内観くらい載せようぜ、って思う。お客さんは何で判断すればいいの、って。それでも、築浅で張り替えただけでリノベーションっていうのもどうかと思いますけど。

 僕は、リフォームとリノベーションの境ってなくしてもいいんじゃないか、って思います。お客さんにリノベーションって言ってもピンとこない。リフォームって言っちゃえばいいじゃないですか。お客さんからすればリフォームかリノベかは重要じゃない。

中村 築浅でちゃんとしてるやつだったら、リフォームで表層いじるくらい程度でいいじゃないですか。

 リフォームに統一でいいんじゃないですか。エンドがどういう認識なのかが問題だと思うんですよ。リフォームってダサいぞって。でも違うじゃないですか。

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