【船井総合研究所インタビュー】人口減少時代の戦い方は?
・人口減少時代のリフォーム会社の経営、船井総合研究所の杉浦氏に話を聞いた
・同社ではリフォーム事業者にビジネスモデルを提供するコンサル形式を取る
・リフォーム売上を伸ばす為に、多店舗化より経営の多角化を推奨する
船井総合研究所 執行役員、住宅・不動産支援本部本部長 杉浦 昇 氏
総合リフォームはNG
人口減少時代にリフォーム会社はどのような経営を推進すべきか。リフォーム事業者、約250社にコンサルティングを手掛ける船井総合研究所(東京都千代田区)の執行役員、住宅・不動産支援本部本部長の杉浦昇氏に聞いた。総合リフォームを打ち出すのではなく、さまざまな客層に向けて多ブランド化することがカギだと語る。
水まわり専門が1番人気
――船井総研では開発した「ビジネスモデル」をクライアントに導入するというコンサル形式を採っていますが、今どんなモデルをリフォーム事業者に勧めているのですか。
「ファストリフォーム」という水まわりに特化したリフォームモデルは110社に提供しています。これが最も多い。2番目が中古住宅+リフォームで80社。次いで塗装。これが70社で、今伸びてきています。それ以外に戸建てリノベ45社、ワンデイリフォーム40社、福祉用具+リフォームが20社になります。これから始めようとしているのがニッカホームグループが展開している大問屋という給湯器販売のフランチャイズのサポートです。
――「ファスト」が最も多いですが、水まわり専門リフォームが事業拡大のキーなのでしょうか。
例えば20万商圏で、総合リフォームの拠点が1つあるとします。そうすると大体売り上げの上限は3億円くらいで、10億円やっています、という会社はほとんどないということが分かりました。 商圏を変えずにリフォーム売り上げを伸ばすにはどうしたらいいかと考えた場合、客層ごとにブランドを作ること、つまり多角化経営が重要だと思いました。
そこでまずは、水回りのリフォームがしたいという客層向けに、専門ブランド「ファストリフォーム」を立ち上げることを勧めてきました。 このブランドは総合リフォームではなくて水回り専門です。 ですので、LDKのリフォームや、リノベーションなどはやらない、それらは別ブランドで展開するということを勧めています。
――多角化し、1商圏で10億円以上売り上げることができるようになったクライアントはいますか。
例えば福島県須賀川市のオノヤさん。 元々LDKのリフォームを手掛けていて、約5億円の売り上げでした。 それとは別に水回り専門店「ラクイエ」を出した結果、2.5億円の売り上げに。 それ以外に戸建てリノベブランド「再築の家」で2億円。中古住宅リフォームで3億円。すべて合わせると12億円を超えます。 1商圏の中にはさまざまな客層がいます。それぞれに合うブランドを作る多ブランド展開で成功しました。
また、千葉県香取郡のハウジング重兵衛さんは、水回りのリフォームが強みですが、最近1,000万円クラスの増改築を「りのべえ」というブランドで始めました。 水回りの工事をしていると、中には大きく変えたいという人が出てくるわけです。 特に地方では人口が減りますから市場が縮小します。 だから多角化経営を進めていただきたいと思っているわけです。

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