ユニバーサルスペース 遠藤 哉 社長
平均年粗利1573万円の安定受注が可能
介護向けリフォーム事業が専門のユニバーサルスペース(神奈川県横浜市)が、コロナ禍でも売り上げを伸ばしている。手間がかかり安価といわれる介護リフォームの分野で対前年比の約3割アップを支えるのは、IT化と100店舗を超えたフランチャイズだ。世の中の変化にも強い理由と、今後の展開について聞いた。
ニーズが高まり続けている
――新型コロナウイルスで、介護リフォーム業界への影響はいかがですか?
実はさほど影響を受けていません。特に私たちが手がけるのは在宅介護を行うご自宅のリフォームなので、不特定多数と交わることなく、コロナ禍も支障ありませんでした。昨年春の緊急事態宣言時に一時工事が中断したものの、その後再開しています。高齢者や在宅介護は増加の一途。介護リフォームのニーズは高まり続けています。
同じ業界内でも、売り上げが厳しい分野と逆に伸びた分野に分かれたと思います。大型リフォームは相変わらず厳しいですが、在宅時間が増えたことで、たとえば給湯器の修理・交換の依頼は増加しています。事業の多角化を目指しても、こうした堅い分野をしっかり押さえていた会社はさほど影響なく、逆にそれを強みにできたと思います。
IT化による効率化がカギ
――介護リフォーム業界で初めて、業務の効率化に成功した実績があります。それはコロナ禍でも強みになっていますか。
なっています。IT化による効率化と、それによるフランチャイズ化の促進が特徴ですが、特に自社で開発したリフォーム業界初の見積もり作成AIアプリシステム「FUS II」は弊社の強みです。リフォームの希望箇所を撮影するだけで、その場で見積もりを自動作成するので簡単で、副業の多い加盟店フランチャイジーの負担も軽く、作業日数も従来の約半分とスピーディです。
さらに現在、ケアマネージャーなどが作成する理由書」のデジタル化も進めています。介護リフォームでは、手すり一つ付けるにもご家族や私たちの意見ではなく、然るべき第三者が作成した「理由書」が必要ですが、手書きで時間がかかる。全国共通のフォーマットもありません。そこで私たちの経験をもとにした「理由書」のフォーム作りを進めています。
――三密を避ける中、加盟店の研修はどうしていましたか。
6日間研修のうち4日間をZoomで、あとの2日間は藤沢の研修所で実習を行いました。その後のフォローはスーパーバイザーが店舗へ出向き、同行で営業活動を行います。
理由書作成支援アプリ
半年間で事業黒字化
―― 店舗によって売り上げの差は出ませんか。
直営店でも加盟店でも、一人ひとりの1日の動きは、専用のアプリを使って工程表のように細かく行動管理し、見える化しています。
弊社は、「打ち合わせは30分間」とか「立ち合いには何時間」と、あらゆるタスクを標準化。その通りにスケジューリングすれば月に100万円は確実に売り上げられます。それによって、加盟店でも半年で黒字化が可能です。今後は3カ月での達成を目指しています。このやり方だとすご腕営業マンが出にくい代わりに、赤字続きの営業マンも出ません。
実際の数字としては、直営営業マンの粗利平均は年間1573万円と、リフォーム産業新聞社さんが出された、通常のリフォーム会社さんの平均値よりも高い数字になりました。そして、単価が8万円なので、受注がゼロというのはほぼない。世の中がどう変化しようとも、標準化された手順とノウハウで乗り切れています。
――今後の展開について教えてください。
IT化をさらに推し進めるため、IT事業部を創設します。さらに直営店の増加。数年間で10カ所程度、新たに出店を計画しています。現在店舗数は、全国で100店舗を超えました。今年は加盟店を含め、160店舗まで増やしたいと考えています。
全体の売り上げアップが狙いですが、今後の地方進出を考えた場合、直営店が近くにあると手厚いサポートが可能ですし、良いモデルにもなり経営強化につながるでしょう。
―― 介護リフォームの役割とは。
長年住み慣れた我が家ですから、住まい手は年齢を重ねても自宅の欠点には気づきにくいものです。何かあってからでは遅い。この部分には手すりを付けると良い、またわずかでも危険と思われる段差をなくすといった、転ばぬ先の杖のリフォームを提案するのが私たちの役割です。
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