TOTO 清田徳明社長
PROFILE◉きよた・のりあき
1961年10月生まれ、長崎大学経済学部卒。84年4月同社入社後、98年ウォシュレット企画部長、05年国際事業部長、08年ウォシュレット生産本部長兼TOTOウォシュレットテクノ社長に就任。10年執行役員レストルーム事業部長、12年取締役常務執行役員レストルーム事業部担当、16年代表取締役副社長執行役員を経て、20年4月代表取締役社長執行役員に就任(現任)
節水、CO2削減...環境問題解決にも数値目標
TOTO(福岡県北九州市)は10年先を見据えた新戦略「TOTO WILL2030」を公表した。特徴は2030年の売上規模や利益率、海外売上高比率といった経営目標に加え、世界で深刻化している水問題や環境配慮商品の普及等、社会的・環境的価値向上のための数値目標も盛り込まれていること。取り組むべき課題を「きれいと快適」、「環境」、「人とのつながり」とし、これらをSDGsとも紐付けた計画にした。2020年4月、世界的パンデミックの渦中で社長に就任し、ブレーキとアクセルを交互に踏みかえながら舵取りを進めてきた清田徳明社長に、今、なぜこのような新戦略を策定したのか、話を聞いた。
【聞き手/編集長 金子裕介】
新共通価値創造戦略『TOTO WILL2030』とは?
2030年にTOTOが目指すべき姿を掲げ、その実現のため今何をすべきかを考えるバックキャスト型の戦略として今年4月に発表。売上規模は2020年の5778億円から、2030年に9000億円へ。住設事業の海外売上高比率は同25%から50%以上などの経済的成長目標を掲げた。さらに、サスティナブル商品(環境配慮型商品)の構成比を同69%から78%へ、商品使用時の水消費削減量同9億㎥から17億㎥など、社会的・環境的目標も明示された。
想定外が起こる時代短期目線より長期
――前回の「TOTO WILL2022」(2018〜22年度)は5年間の中期経営計画でしたが、今回は2倍の10年間の戦略となります。その背景は。
前計画では私も副社長として喜多村(前社長)を支える立場にあり、取締役間で1年くらいかけてディスカッションをして作り上げましたが、今回のようなパンデミックなど想像もしていませんでした。想定外の大きな波が来る時代、細かな短期の数字の積み上げは、さほど意味を持たない。緻密な計画は1回捨て、長期的に目指すべき姿を掲げれば、後は単年単年、やらなければならないところは決まってきます。長期のゴールに向けての基本的なストーリーラインを決めれば、その都度起こる変化に対し、組織や個の能力を高めて動けるしつらえに変えました。
――業績の数値目標に関してですが、2030年の売上高計画を9000億円以上としており、かなり野心的な数字です。
私の気持ちの上では、数字はあまり出したくありませんでした(笑)。9000億円は一つの目標物として置かせていただいたもので、私の考えですが、30年に8500億円でも、9500億円でもいいと思っています。大事なのはその次の2040年までもっと成長していける勢い、ストーリーラインを保っているか、ということ。そちらの方が重要です。
――その成長ストーリーでは経済的規模の拡大と共に、社会問題も解決していくという考えです。なぜこのような社会問題への貢献を今回の構想に取り入れることになったのでしょうか。
私どもも今、度重なる自然災害で、調達ラインが崩れたりしており、それはいわゆる環境破壊の結果です。また昨年10月、菅首相も2050年カーボンニュートラルの実現を宣言されました。TOTOのあるべき姿を考えたときにそこを意識せざる得なかったということです。
エコ商品構成比69%→78%に
――エコ商品であるサスティナブルプロダクツを69%から78%に引き上げる計画を掲げています。

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