自社で正社員雇用する営業マンはゼロ。それにもかかわらず、成長し続ける不動産ベンチャーがある。2019年に設立したTERASS(東京都港区)だ。「エージェント」と呼ばれるパートナーと連携して仲介事業を手掛けており、まだ創業間もないが、2021年12月までの累計仲介取り扱い高は170億円を突破。毎月20%近く取引額が増えている。仲介業は大手も多く、後発で事業を伸ばすのは至難の業。なぜ成長できるのか、江口亮介社長に独自のビジネスモデルについて聞いた。
TERASS 江口亮介 社長
手数料の75%還元
――営業マンを正社員雇用せず、業務委託の「エージェント」に営業を任せる。斬新なビジネスモデルです。
エージェントは今100人以上います。65%が本業としてやっていただいていますが、35%は副業です。例えば、不動産とは全く関係がない会社に勤めている不動産好きな人がいるのですが、平日は会社でバリバリ働いて、土日は不動産営業なんていう方もいます。設計事務所を経営している建築士の方で、新規事業として不動産仲介を始めたという方もいます。エージェントは多様性があり、例えばYouTubeで情報を発信してファンを増やしている人や、インスタグラムが得意な女性はSNSで集客していたりします。今は主に1都3県の中古住宅の売買を主としています。
――外注なので固定費はかかりませんが、彼らにやる気になってもらえなければ売上は1円も入りません。意欲的に営業してもらう為の仕掛けは。
1つは業界でも最高水準である報酬。売買できたら仲介手数料の75%を報酬にしています。例えばイメージですが、4000万円の契約をとれれば約96万円が報酬となります。
それと強力なバックアップ。当社のエージェントにはお客様と接触する仕事のみに集中してほしいと思っています。具体的には見込み客を見つけて、面談し、提案、交渉していくことなど。それ以外の業務は当社ですべてバックアップします。具体的には契約書や重要事項説明書などの書類や広告の作成、ローンの斡旋、追客の仕組みの構築などを当社で全て行います。限られた労働時間をお客様のために使うことに集中してもらうのです。
――手数料の75%が報酬なので、残り25%がTERASSの売上。この25%で事業を運営していけるようなコスト管理が必要になります。

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