CUBEリノベーション、関東4店で売上8.6億円 交流推進し辞めない会社に
CUBEリノベーション 江川昌季 社長
千葉を本拠地に埼玉、神奈川、東京に4店舗を展開してリフォーム全般を手掛けるCUBEリノベーション(千葉県千葉市)。2018年度が3億5000万円、19年度が6億1000万円、20年度8億6000万円と、ここ数年で売上を右肩上がりに伸ばしている。飛躍の背景には、社内外でのコミュニケーションを重んじる社風や、フランチャイズ(FC)加盟によるノウハウの活用がある。江川昌季社長に、成長の背景を聞いた。
「社員が辞めない会社」という強み
――近年売り上げが増えていますが、おもな要因は何だとお考えでしょうか。
まず、人が辞めないのが大きいですね。4店舗になって目が行き届かなくて一時離職が多い時はありましたが、ここ1~2年は安定しています。あとは、4年前に千葉の店舗からLIXILリフォームショップのFCに入ったことで、LIXILというブランド名を掲げられ、信用力があがったことが大きいです。特に採用では、もともと募集しても2,3人しか応募がこなかったのが、70人くらい来るようになりました。
――離職が多い時代、なぜ人が辞めないのかは興味深いです。どんなことをしているのでしょう。
例えば県をまたいだ店舗でも交流をしています。足立店で月1回、30人強の社員で全体会議と、交流のためグループワークをします。
テーマを決めて行うのですが、リフォームに限らず、たとえばディズニーランドの魅力とかヨットの世界とか、いろんなお題で1テーブルに4店舗の人が混ざるようにして、皆で話してから発表してます。
――社員通りのつながりを強くするわけですね。
嬉しかったのが、ある時、千葉の女の子が「明日は足立店のあの子と飲みに行くんです」と言っていたこと。一緒に働いていなくても交流が生まれているんだなと実感できました。川崎の社員が千葉の社員に1日営業を同行するとか、そういったこともやっています。
ただ、その交流も強制はしません。やらされていると面倒だと思ってしまいますよね。営業の売上競争というとギスギスしがちですが、最初の数人が新しい子を大切にして丁寧に教えれば、そこから次に自分が教わったようにやり、どんどんギスギスしなくなっていく。そういうことを大切にしています。
「手を差し伸べないやつは要らない」の文化
――すごく社内のコミュニケーションを重視されていますね。その風土を社内に根付かせているのが強みと感じます。
うちは「崖の下に落っこちてるやつに手を差し伸べないやつは要らない」という教え。他店から教えを求めて行けば、来られた方も皆カッコ良いところを見せたいとなるじゃないですか(笑)
それで決められないのはカッコ悪いとなるし、意気に感じる社員が頼られるわけです。見える化という面では、社内用に映像資料などを共有すべく、WEB担当の社員に作ってもらっています。
――映像とは具体的にどんなものでしょうか。
打合せ内容を見返すためなどとお客様に話して、撮影の了解をいただき、初回から契約時までの営業トークの様子を撮ります。売れている営業の接客をお手本にするとか、自分の成長を振り返るとかに使えます。
1人1個でも会心のものを作って、それが20人いれば20個になるわけです。会社共有のクラウドとか社員専用のYouTubeに上げるとかで利用を考えています。
――なるほど、ノウハウ映像を共有するのは面白いですね。社員の教育面で、ほかに行われているものはありますか。
新人社員研修も、以前は数人溜まってくると川崎の店長が行って毎回やっていたのを、いつでも動画で見られるようにしています。社内の4人のWEB担当がYouTubeやTikTok、インスタなどのSNSやサイトなどで社員用の動画制作をしています。
採用活動でも、面接時には「うちのTikTok見てますか?」などを聞き、社員同士が仲良いことを紹介するようにしています。
――今はTikTokを確認してから、面接に臨む人が多くなりましたね。社風をいかに伝えるかに力をいれているわけですね。
僕が面接する際は、直接思いを伝えるようにしてまいて、面接も長くなって3時間くらいになることもあります(笑)。足立店の店長は、OB顧客なんです。担当者を気に入ってくれて「本当にありがとう、喜ばれる仕事でよいね」となり、うちに入ってくれました。
紹介案件の成約率6割越え
――あと御社の強みとして、案件成約率が高いと聞きました。
案件が入るルートはいろいろありますが、一番力を入れているのがLIXILのショールームからの紹介です。紹介後の成約率が全店で約60%、千葉は67%くらいあり、FC加盟店の平均でみるとかなり高いです。社員には、わざわざ自分たちに紹介してくれたわけなので、大事にすべきことを伝えてますし、ショールームの方とのコミュニケーションもとるようにしています。
――なるほど、案件の重要性を伝えることで、社員の意気込みを高めているわけですね。そうしたノウハウは自ら考えているのですか。
LIXILリフォームショップ同士の交流などから得るものも多いですね。なんでも話さなければいけないというルールがあるので、最初は尻込みしましたが、惜しみなく自分の会社のノウハウを話しあう仲間が増えました。
【聞き手/報道部長 福田善紀】

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1656号(2025/07/14発行)11面
- 1655号(2025/07/07発行)19面
- 1655号(2025/07/07発行)16面
- 1655号(2025/07/07発行)17面
- 1653号(2025/06/16発行)12面