Budscene(バドシーン・東京都台東区)は、ピアノや和太鼓など、施主が出したい音の大きさに応じて「苦情がこない防音室」を首都圏中心に年間50件前後提供してきた。並木勇一社長に、防音工事に必要なことや今後の展開などを聞いた。
「重さと防振」徹底でクレーム皆無
並木勇一社長
── 御社の強みはどんな点でしょう。
ずばり、性能保証です。前職で防音ドア作っていた際の経験を活かし、性能を明確化しています。実際、「この部屋では、これだけ音を防げる」と表明しており、僕らは徹底して苦情がこない部屋を作ってきました。ピアノ向けの防音室だけでなく、もっと音が大きい和太鼓の防音スタジオを依頼されたこともあります。
── 防音室の予算はどのくらいでしょうか。
大まかですが、ピアノ用の防音室は6畳内装込みで戸建て約300万円、マンション同350万〜400万円程度です。
戸建てだと隣家との間に外部空間がありますので、高齢能な遮音性能を保たなくても防音ができますが、マンションだと隣が寝室やリビングの場合もあり、聞こえない環境を作らないといけません。RC造によりある程度の音は防げていても、ケアしなければならない内容が増えます。
── 新築とリフォームの割合はどのくらいですか。
割合は半々で、どちらともデザインを含めて1室丸ごと請け負います。広さは4.5〜12畳ほどが多く、振動を取るために防振をとり、必要な重さをかけます。音を防ぐのは「重さと防振」なんですね。軽い部屋だと防音ができません。お客様の「こういう演奏をしたい」という要望に応じて何デシベル(dB)減衰できる部屋を弾き出して、それを作っていきます。
── どうやって、振動を防いだ上、重さを実現するのでしょう。
振動は、部屋が浮いていれば防げます。部屋の中にもうひとつ部屋を作るイメージですね。接触していなければ振動は伝わりにくい。床しか触れてない空間を作り、その床防振に、ゴムや断熱材を使ったりします。
開口部は、ピアノや管楽器までなら窓をそのまま生かして2重から4重サッシを採用します。吸排気は消音ダクトを使い、音が入り込まないようにします。壁は、通常の石膏ボードと同じ厚みで重さが倍の吉野石膏さんのタイガースーパーハードを使うことが多いですね。
── 他社では防音室を作ったものの、まだ音が漏れるというクレームも聞きます。
きちんと現地で測定をしていないからでしょう。2室間の音圧レベル差から求める遮音性能を示す数値をD値といいますが、たとえば、ドラムを叩ける部屋なら、D-65でよいという会社もあれば、D‐75なければ保証できませんという会社もある。防音という言葉が、すごくあやふやな現状もありますね。正直な話、私どもがピアノスタジオと言っているスタジオを、より高い性能が必要なドラムスタジオとして売っている会社もあります。私どもは、苦情がこないレベルを厳密に設定しているので、クレームにはなりません。
── コロナウィルスの影響でニーズは変化しましたか。
コロナ禍の際は依頼が落ち込んだものの、この3年で売り上げは3倍になっています。音に悩む人の数は相当数いて、音楽だけでなく、ゲームやボイスチャットの声、賃貸物件でもなんとかしたい方からの問い合わせを多くいただいています。
── 防音室のニーズは、やはり楽器が一番多いのでしょうか。
楽器以外には、DTM(デスクトップミュージック)という、家で音楽を作る方も数としては多いですね。あと、少数ですがカミナリや飛行機の音に敏感なパニック症候群の方の依頼もあります。
求められる防音室作りができる仲間を
── 工事依頼は全国で可能ですか。
はい、現状は首都圏が多いですが、今後は全国で積極展開していきます。5年以内に、主要都市にFCまたは実店舗を置きたいですね。FCではノウハウを全て提供しますし、必要に応じて出向いて手伝います。求められる防音室づくりに本気で取り組む仲間が増えることを心から望んでいます。
音を防ぐのが難しい和太鼓対応工事を行ったことも
会社名 | :Budscene |
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代表者名 | :並木勇一 |
本社所在地 | :東京都台東区 |
創業年 | :2009年 |
従業員数 | :5人 |
事業内容 | :防音室の設計施工 |
リフォーム売上高 | :2億5000万円 |

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