オノヤ 小野浩喜社長
キャッチコピーNOT SMARTの生活提案
福島県を主体に6拠点を展開するオノヤが、今期リフォーム売上高30億円に到達する成長を続けている。本拠地は須賀川市という人口8万人弱のイチ地方都市でありながら、業界で先駆けて行った空間提案等で、小商圏でも勝負できるビジネスモデルを確立。近年は不動産仲介事業や、家具店とのコラボ店舗など新たな取り組みも見せる。小野浩喜社長にこれまでの歩みと事業戦略を聞いた。
間もなく創業80年
―――創業は1935年と古いですが、当初は馬車のタイヤなどを販売していたそうですね。
私で3代目なのですが、うちの祖父が須賀川のエジソンと呼ばれてまして(笑)。当時馬車のホイールは木だったのですが、そこにゴムを貼り付けまして、タイヤの始まりのようなものですね。その後、うちの父の代で、建築資材の販売を始めまして、そして私がリフォームと。新しいことに取り組んでいったのです。
―――それで、1998年にリフォーム事業部を立ち上げたと。
実は、それ以前から私と家内とでちょこちょことやっていたんですよ。というのは卸をやっていましたから、なかなか表立ってできませんでしたので、平日は建材の営業マンで土日がリフォームの営業をしていたんです。
―――では休みがなかったのでは。
365日休みなしです。自分で1億円できたら、事業としてできるのではないかと、力試しをしていました。
郡山出店への決意
―――立ち上げ後は郡山の拠点を開設するなど順調な推移を見せているようですが。
そんなことはないですよ。須賀川は郡山のベッドタウンみたいなものですから、当時、郡山なんかに出したら実力勝負なんだし、いいように値切られて終わるとみんなに言われました。家賃10万ほどでしたが、金額にビビりましたからね。
―――では、なぜそこまでして郡山進出を決めたのですか。
当時、地元の映画館の社長にお前みたいな会社が郡山にないから店をつくりな、と言われたんです。その社長には終の棲家(ついのすみか)を作りたいと、3000万円ぐらいのお話を頂いたんですね。でも正直不安でしたし、駆け出しでやったことがないと言ったんです。そしたら、お前がやったことないのは分かったけど、お前でなく職人がやるんだから、窓口になって、俺の夢を実現してくれればいいんだと。リフォームとは結局そういうことだなと、お客さんの夢を具体化して、パートナーになることだと教えてもらいましたね。
―――そこで、オノヤの色が確立されたわけですか。その後は全国でも先駆けとなる空間提案のショールームの開設ですね。
その頃、悪徳リフォーム問題でお客さんが来なくなってしまって。ブランドも信用もないんだなと。それで、当時始まったビフォーアフターのような仕事がやれるようになりたいと、空間を展示して、生活を、感動を売りたいと郡山にショールームを作ったんです。でも社員が、お客さん来ちゃいますねと心配そうに言うわけ。
―――いいことじゃないですか。
でもお客さんはこんな素敵なショールームだと、素敵なリフォームができると期待しますから。このショールームはうちの弟がデザイナーなんで、作ってもらったんです。
―――そうか、社員がこんな提案できないということですか。
それで、急に不安になって、どうすればいいか弟に聞いたんです。そしたらお兄ちゃんはインプットがダサいから、アウトプットもダサくなるだけだと、心配するなと。これから、雑誌などでインプットにいいものを提供してあげるからと言われて、毎日、毎日それを半年ぐらい読みましたね。
―――半年後はどうなりました。
めちゃめちゃ変わりますよ。毎日ですから。気に入ったものはスクラップブックに全部入れて、このデザインにするにはどんな材料を使うか調べ倒しました。それで真似ですよ。ゼロからなんて考えられないですから。
―――それが、全国コンテスト4年連続日本一につながったわけですね。
今は、社内コンペで施工事例コンテストを月に一回、必ず全員参加でやるんです。50万以下、100万以下、200万以下、200万超という4つの部門に分けています。うちの自慢は、社内コンペで落ちたやつでも全国1位になれることなんです。ただ、うちにはNOT SMARTというキャッチフレーズがありまして、かっこいいだけのリフォームをやる会社はカッコ悪いよね、泥臭くお客さんの要望をとことん聞き、使いやすくしようと。その上でセンスがいいものを作ろうという考えです。
不動産事業も好調
―――2009年からは中古仲介時のリフォームも開始されています。
大体去年で仲介件数は75件ぐらい。今年は目標100件ですが、6店舗のうち3店舗で行っています。福島店は約5億円のうち1億円は中古住宅からですね。最初、仲介できたお客さんにリフォームの予算300万円ぐらい予算をとっちゃうんです。その後に物件を探しますから、ほぼ100%リフォームが発生します。
―――近々では、仙台に家具店を併設した店舗を出したことが印象的です。
60坪ぐらいの店舗なんですが、家具で集客にもなるしブランディングもできます。リフォームや新築のときには売れますから一石二鳥ですね。
―――今後の計画は。
店舗はドミナント戦略で出します。新幹線が好きなんで、沿線上に出していきたいですね。

店舗 * 6店舗(福島4店舗、宮城2店舗) / リフォーム売上高 * 25億2000万円(今期30億円目標)
社員数 * 64名

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