大和ハウスリフォーム 杉浦純一社長
「単独企業でリフォーム売り上げ1000億円」。いまだに、達成企業が現れていない目標を掲げ、今期から大和ハウスリフォーム(東京都江東区)は、発進した。インスペクション実施率の向上やロイヤルホームセンターとの連携強化など新たな666具体策を打ち出し、今期は同社単体で700億円の売上高を計画している。杉浦純一社長に、事業拡大に向けた戦略を聞いた。
3期連続2ケタ増
―――ダイワハウスさんは、3期連続でリフォーム売り上げが2桁増と高い成長率を維持されています。好調の要因はどこあたりにあるのでしょう。
リフォーム事業に力を入れているというところもありますが、営業と技術の分離による生産性の向上があると思います。一般的なリフォーム会社は、営業と技術陣が曖昧なところが多いですが、それだと生産性が伸びない。そこで私どもの目指しているところは経費はかかりますが、営業と技術を分離して役割分担し、両方が成長する戦略です。以前はダイワハウス・リニューを技術会社として、ダイワハウスの営業部隊と分けた形でやっていたのですが、デメリットも出てきまして、スピーディーにするために1つの会社にしました。
―――グループ全体でリフォームの全体人員が前期で1600名ほどということでしたが、営業と技術でどのくらいなのですか。
営業が約950名、技術が約450名です。今後は営業に対する技術の割合を高めていきたい。なお、現状では営業3.8名に対し設計1名、営業4.3名に対し工事1名、営業3.2名に対し点検1名の割合です。
―――営業マンの月の生産性は700万円ぐらいですよね。これは上げていく方針でしょうか。
そうですね。ただ、リフォームの場合は限度がありますので、人を増やしながら生産性を上げていく両面をやっていかないと事業が伸びないと思います。今はダイワハウスのOB客をメーンにしていますが、将来私どもがナンバーワンを目指すためには、それだけではだめです。だから技術陣を増やし、ダイワハウス以外の木造やRC造をやっていこうという考え方です。
―――先日発表された第4次中期経営計画でも新規向けリフォームの強化を打ち出していました。今は売上高に占めるOBと新規の割合が8対2ぐらいですが、将来はどのくらいを目指すのでしょう。
最終的に割合はあまり変わらないと思います。2016年度に7対3ぐらいの割合で行ければと。ただ、OBの方はある程度行ったところで伸び率が、頭打ちになるとは思います。
―――現状で営業社員が950名ほどいますが、OBと新規対応に役割が分かれているのですか。
今、分かれているのは一部です。徐々にOB専門部隊と、そうではない部隊に分けているところです。ただ首都圏や近畿などは、専属部隊を設けることができますが、地方の営業所によっては難しいところもありますので、兼務していく形になってくると思います。技術の方も完全に分かれてはいませんが、一応担当は決めています。
―――ちなみに、営業所は拡大していく方向でしょうか。
していかないと、と考えています。ですから、今ある営業所の他に、ある程度の都市には、一般リフォーム市場向けの営業所を設けていく計画です。具体的には、関東近辺や、中部圏、近畿圏がメーンになるのと、中核都市ですね。そこから徐々に行っていきます。
―――イメージとしては、一般的な事務所とショールーム併設型の店舗、どちらでしょう。
両方考えています。ショールーム併設型も構想中ですし、団地内に事務所の代わりに出す形、あるいは支店内に分ける形もあり得ます。
―――あと、人材採用では、女性を積極的に採る方針を出されていました。それは、どのような狙いですか。
やはりこの職種自体が女性に適している職だと感じます。それはお客様とのリレーションであるとか、接触する上において女性の方が安心感があるというところがありますから。全部とは思いませんが、女性の営業であるとか、設計などの採用が事業に貢献すると考えています。そのために、女性が働きやすい勤務体系や人事制度も整えなくてはいけません。
―――現状でいうと、女性の従業員の割合はどのくらいですか。
パートさんなども合わせると、全体で約29%です。一番多いのは設計で44%、まだ営業は少なくて10数%という割合です。営業も最終的には半分位女性にしたいと思っています。
点検、診断から入るリフォーム
―――リフォームを拡大するにあたり、インスペクションの強化を打ち出されています。検査をもとにした提案を増やしていくということでしょうか。
これからOB以外、一般の市場も拡大する上での、差別化です。ダイワハウスが一番得意とするリフォームが点検、診断から入り、お客様に建物の状況をしっかり知ってもらう。あるいは、常にお客様とリレーションを取る上で建物の状況を知ってもらうということが重要と思っています。ダイワハウスのOB客の建物はある程度知っていますから問題ないですが、一般市場のものは、どういう形で建てられて、現状がどうかは分かりません。
リフォームをする際、余分なコストをかけたり、リフォーム自体が中途半端という事態になりかねませんので、点検を行った上でのリフォームをお勧めしています。それで信頼関係を構築し、リピーターとしてお客様と長いお付き合いができると考えていますので、このインスペクションをダイワハウスのコア戦略にしていきます。
―――インスペクションを行う人員も社内にいるのですか。
はい。ダイワハウスから長期の点検診断も受けていますので、その人員も含めて専属部隊を雇っています。
―――実際、現状ではリフォームした方のインスペクションの実施率はどのくらいでしょう。
実施した方はかなりの確率で仕事をとらせていただいていますが、現状は10%ほどの世界です。
―――今、グループの大和ホームズオンラインでWEB上での不動産仲介事業を強化されていますよね。そことも診断で絡みがあるのですか。
連動しています。弊社で中古物件のチェックをしてリフォームにかかる値段も添付して、販売をするという発想です。
25拠点に常設店舗
―――強化策のもう1つが、ロイヤルホームセンターの連携ですが、どのような中身なのですか。
一般市場の窓口にこのロイヤルホームセンターを活用しているのです。今まではロイヤルホームセンター自身でリフォームをやっていましたが、それだとトイレや風呂の交換など物販になってしまう。リフォームというカテゴリの発展性がないのです。ですから、提携をして、私どもが中に入って提案を行うという戦略を取っています。
―――常設なのですか。
常設です。今は35店舗中25店舗に拠点があります。
―――ただ、ホームセンターのリフォームのイメージとしては、ダイワハウスさんが行うような高額リフォームと結びつかないのですが。
要はデパートに買いに行く人だけがリフォームをするわけではありません。10年15年と住んでいるとどこか具合が悪くなってくる。ところがどこに頼んでいいか分からないので、近くのホームセンターがあれば、ちょっと聞いてみようかというニーズはあると思います。初めは確かに、私どもが行うリフォームと合わないという懸念も若干ありました。ところが、まだまだですが徐々に浸透していまして、今は色々な内容の相談が来ます。そしてインスペクションをすると、ホームセンターで3000万、4000万のお客様も結構とれています。
―――ロイヤルホームセンターさんが元請けする部分とのすみ分けはどのようにしているのですか。
例えば、洗面台を替えるなどはロイヤルホームセンターさんで単独請けする形です。ただ、そのお客様も私どもがヒアリングをして、発展性があるか、あるいはインスペクションを受けてもらえるかで、対応を分けています。
―――2016年度で1000億円、新規の割合が3割ですから300億円を目指すということですね。現状では、150億円ぐらいですから倍を目指すということですね。
そうです。そのためには一般市場部分の人員も今の倍位にしないといけない。対応する店舗数も25拠点から、最大50拠点位にしたいと思っています。これは、ロイヤルホームセンターさんの拠点に加え、単独店舗も含めてですね。

所在地 * 東京都江東区 / 創業 * 2003年(2013年4月社名変更)
事業内容 * リフォーム工事の請負、設計・施工管理、点検検査業務

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1653号(2025/06/16発行)12面
- 1651号(2025/06/02発行)12面
- 1649号(2025/05/19発行)7面
- 1647号(2025/05/05発行)15面
- 1643号(2025/04/07発行)16面