大建工業 常務執行役員 営業統轄部長 畑島正志氏
2016年度69万戸予想
消費増税による新築住宅の市場縮小が予測される中、今後の住宅市場はリフォーム拡大に動き始めた。増税前の駆け込み需要の後には、新築着工数の激減も予想されるため、各メーカーはリフォーム事業の拡大に力を入れている。建材メーカー大手の大建工業の畑島正志常務執行役員・営業統轄部長に戦略を伺った。
工務店のリフォーム比率は45%
―――消費増税前の駆け込み需要で、新築住宅の着工数は伸びています。御社の今年度の通期見通しは。
通期の連結業績見通しは、売上高が前期比9.4%増の1730億円、経常利益は5.8%増の60億円です。2011年度からスタートしている「中期経営計画」では、2015年度には売上高2000億円を目標としています。
―――今期売上高のうち、リフォーム事業の売上高は。
リフォーム事業の今期の当初見込みは270億円強でした。
―――床材、ドア、収納などの住空間事業の売上高が900億円弱とのことですので、リフォーム事業が占める割合は3割近くということになりますね。
中小工務店に限ると、リフォームの比率はもっと上がります。当社が登録工務店に対して行った調査では、リフォーム比率は45%でした。10年前には2割程度のレベルでしたので、高くなってきています。それだけリフォーム需要があると考えています。
将来は新築50万戸に激減も
―――今年度と、それ以降の新築着工数の予想は。
今年度当初の予想は93万戸でしたが、実際には98万戸程度になると思います。ただ、今後は、確実に減少すると予想しています。手堅く見て、2014年度が82万戸、2015年度が77万戸、2016年度は69万戸と、1割ずつ減っていくイメージです。中期的には50万戸近くにまで落ちる時期が来るかもしれません
―――人口減や若年層の所得の減少など、様々な要因が考えられます。
それに対して、リフォーム需要は、ストック住宅がある以上、確実に増えていきます。今後は、新築よりもリフォームでという人が増えてくるとも思われます。国も、2020年までに中古住宅流通市場とリフォーム市場を20兆円に倍増させる計画です。ですから、当社もリフォームの売り上げ拡大を図る計画です。
施主目線のモノ作り
―――床材の業界全体のマーケットはどのくらいと見ていますか。
フローリング市場は、2013年は業界全体で月間180万坪ほど出ています。2012年は月間約150万坪なので、2割ほど増えたことになります。
―――業界全体のうち、御社の床材のシェアは。
当社の床のシェアは断トツです。全体のうちの3割は確実に出荷しています。
―――室内ドアの市場は。
室内ドアは、新築が600数万、それにリフォームを足して700万本弱になると思います。
―――このうち、リフォーム向けが何割を占めるでしょうか。
フローリングについては、正確な数字がつかめないのが実情です。工務店様のところに在庫があり、そこからの流れがつかめない。リフォームでよく使われる、流通在庫がない高価格帯の商品をチェックしていくと、4割以上がリフォームと見ています。
室内ドアについては、ホームセンターでの売り上げは100%リフォームです。5年前から見ると10倍近くに伸びていますので、需要は増えてきたと思います。
―――リフォーム向け商品開発において、今後重視していく点は。
私どもはメーカーですから、質の部分にこだわっていきたいですね。お客様が求めている機能を重視し、付加価値の高い商品を提供していくことです。住まい方が十人十色という時代ですから、それに合ったものがあるかどうか、が問われると思います。
―――消費者のニーズにより良く合った機能を提案していく、ということですね。
例えば、ペット用の床板では、犬の肉球に対して優しく、脱臼や骨折をしにくい床板を作れば、その床は高齢者にとっても滑りにくくグリップ性がある、とお客様は評価してくれます。1つのアイテムとして作ったものが、他にも転用できるということを、お客様が教えてくれます。
お客様目線でモノ作りをして、さらにお客様との関わりの中で新しい商品の展開が広がる。これが、モノ作りの本質だと思います。

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