ヤマダ・エスバイエルホーム 松田佳紀社長
ヤマダ・エスバイエルホーム(大阪府大阪市)は、今期リフォーム売り上げ100億円の大台に向け、事業強化を進めている。前期リフォーム売上高は、前年度比13%増の81億円と2ケタの増収となったものの、計画の100億円突破には至らなかった。松田佳紀社長に新築OB客フォローと、ヤマダ電機と連携した新規客獲得の具体的戦略について話を聞いた。
エコシステムGと連携
――前期リフォーム売り上げは81億5800万円を計上しましたが、現状では約13万5000戸の新築OB客からの売り上げが大きいと思います。
新築OBのお客様の売り上げが75%ほどです。直近では、太陽光を切り口にした外壁と屋根のリフォームが安定的に取れている。これは、後に発生するキッチンやお風呂のリフォーム獲得のチャンスになるわけです。
――太陽光を未搭載のOB客が多数存在するということでしょうか。
今の新築搭載率は50%ほどですから、まだまだ弱い。そこで、太陽光事業者のエコシステムグループとタイアップしまして、阪神支店や姫路支店は太陽光ビジネスがぐっと伸びました。3、4、5月の3カ月間で3億円の実績があり、棟数にすると100棟以上になると思います。
――外部事業者に営業のサポートをお願いするという形でしょうか。
そうですね。というのも私どものスタッフが継続して対応できればよかったのですが、営業社員の退職などにより、13万5000戸の顧客ストックの掘り起しが十分にできていない。コミュニケーションができているところだけに、行っているのです。
つまり、13万5000戸のうち、10万戸ぐらいは、潜在需要が眠っているのではと感じます。この10万件の掘り起しを行わなくてはならない。その切り口が太陽光なのです。同じ方式で、6月からは関東でも展開する予定です。
――太陽光以外にもタイアップはあるのですか。
外壁塗装の大手さんともタイアップしています。築10年、15年経っている住宅に太陽光を設置するときは、外壁と屋根塗装を推奨する。そして、その後5年、10年経ったあとに「キッチンを交換したい」などの声が出たら私どもにフィードバックしてもらい、弊社のプロパーの社員が再度オーナー様にアタックするわけです。
――そうした展開で現在26.9%のOB客捕捉率(一定期間にリフォームを実施した率)を計画の33%まで高めるわけですね。
おのずとリフォーム人材を増やしていかなくてはいけませんが、今はなかなか集まりません。ただ、もともとリフォームで私どもと付き合いがある業者さんがいるわけです。例えば流通店さんともアライアンスを組ませてもらっていまして、材工込みでお願いし、効率化しています。
――するとここ数年は、新築OB客を中心にリフォームを拡大する計画でしょうか。
主な売り上げはOBのお客様です。100億円の次は120億円、140億円と20億円ずつ高める計画ですが、ちょうど築20年ほど経過したお客様が多いので、うまく掘り起こせればこの数字になると考えています。あとは、今期新築の竣工で1780戸、契約が2000戸ほどとみているのですが、新しい水を足していく必要もあります。
住宅展示場配置イメージ
駐車場のモデルハウス増加
――OB客を本格強化する一方で、ヤマダ電機さんとの連携で、新規の伸びも見込めると思います。
新規客のポータルにはなりえます。ヤマダ電機で一旦受注をした後に、顧客の継続性という意味で、私どもがお客様の追客をすることもできる。信頼関係ができれば、店にわざわざ来ていただかなくても、直接のオーダーにつながります。
――最近では、ヤマダ電機の駐車場にモデルハウスを建築する事業を進めていますが、その効果はいかがでしょうか。
通常の総合展示場は、展示場自体が新規開設の場合、イベントなどでとても多くのお客様がいらっしゃいます。ところが、もともとある総合展示場にモデルハウスを作った際は、非常に来店客が少ない。そうした、従来からの展示場への出展と比べますと、駐車場に設けたモデルハウスは4、5倍のお客様が来られます。
――4、5倍とは多いですね。
ヤマダ電機のチラシの中に常設展示場ができましたと、入れていることも影響しているでしょうが、家電製品が体験できることも大きい。テレビが実際のリビングでご覧いただけますし、掃除ロボットが走り回っている。そういうイベントも含めて、4、5倍の集客につながっているのだと思います。
――このモデルハウスを今期10棟まで増やすのですね。
今4棟で、残り6棟のうち5棟はほぼ計画ができました。
――ちなみに、直営で約600店あるヤマダ電機の家電量販店に、リフォーム・新築の提案をする現状約170カ所あるトータルスマニティライフコーナーは増やしていくのでしょうか。
最近は、もう増やしていません。縮小した店舗もありますから。ただ、今度は30坪クラスの小さいコーナーも作る予定でして、コーナー設置は600店までいかないでしょうけど、受付は全店でできるようにする方向で調整中です。
――そのコーナーでのリフォームは御社がすべて絡んでくるのですか。
いえいえ、全部は絡みません。ヤマダ電機が入り口で受けた場合は、ヤマダ電機の売り上げになり、弊社が工事業者のような形で入るときはあります。500万円以上の工事の場合は建設業免許が必要なので、私どもの対応ですし、お風呂などハウステックが守備する範囲はハウステックの売り上げになるときもあります。

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