スマイル本田 丸山治夫社長
グループのリフォーム売上は約190億円
昨年東証1部に上場したジョイフル本田のリフォーム専業子会社、スマイル本田(茨城県土浦市)。ホームセンターのリフォーム会社として約30年前から事業を開始。1000坪を超える大型店舗展開で、売り上げは127億7000万円を計上する。同社の丸山治夫社長に事業戦略と、これからの展開を聞いた。

回遊型の店舗にしたことで、人が巡回する仕組みを構築
1983年に立ち上げ
――御社の創業は1983年ですが、どのようなきっかけで立ち上げられたのですか。
元々はジョイフル本田の住設部でしたが、より専門性を高めるために分社化しました。分社化し、弊社が建物に関するリフォームを担い、エクステリアに関してはジョイフル本田のエクステリア事業部で専門的に手掛けています。
――つまり、グループでエクステリア事業まで含めると、リフォーム関連売り上げがより高まるわけですね。
合わせると190億円弱くらいあります。
――御社の工事単価はどのくらいでしょう。
約24万円ぐらいですね。最近は、売上件数の約40%ある持ち帰り商品(工事が発生しない案件)のウエートが少なくなり、工事付き物件が伸びています。その関係性か、以前の21、22万円の時から単価が上がってきています。
――ボリュームゾーンはどの価格帯ですか。
100万~300万円。売上件数で言うと6%弱ですが、売り上げは40%弱あります。
――ホームセンターさんは、物販型のリフォームを中心とするため単価が10万円台の会社も多い。その中で御社は、提案型を初期の段階から取り入れてきたイメージがあります。
当初は、物販要素が強く、展示場に物を並べて売ることが中心でした。しかし、一昨年に亡くなられた創業者、本田昌也元会長の指示で、物販型だと将来の数字が見えないと、提案型に切り替えていきました。
――現状は、物販と提案型を両立させている状況ですか。
そうです。店舗が大きくなってきますと、工事だけではなく、日銭を稼ぐという意味で物販の部分もないと厳しくなりますので、その部分も入れています。物販の単価は3万円前後。先ほど話した通り、売上件数に占める割合は40%ほどで、売り上げベースでは6%弱ですね。
――本社土浦の店舗でどのくらいの坪数でしょう。
約420坪ですね。大きいところだと千葉ニュータウンで約1200坪。最少は市原店で約210坪です。基本、ジョイフル本田の店舗があるところに出店するのですが、今のところ15店舗中12店舗に拠点を出しています。近年の新規で出店する超大型ホームセンターだと、弊社の売り場面積も大きくなり、1000坪近い規模となります。
――千葉ニュータウンですと、ホームセンター全体でどのくらいの規模になるのですか。
ざっくり5万坪ほどの敷地がありまして、ジョイフル本田のグループの売り場面積で1万9000坪ほどですね。
―― するとリフォームのコーナー面積は6%ほどになるのですね。これだけ大きくコーナーを取っているのは、商品展示を増やす戦略ですか。
売り場については市場規模、当社の要望等も考慮され、エリアの中の当社の売り場面積が決定されます。それをどう使うかが私どもの課題です。「提案型だけでは難しいので、物販のコーナーを入れる」など併せて店づくりをしています。そのため1店、1店若干の違いがでます。11月29日にリニューアルオープンした1番新しい富里店は、新しいコンセプトでつくりました。他店の外構工事関係は、ジョイフル本田エクステリア事業部が担っていますが、富里店においては外構工事も併せて1つに統合したのです。
――つまり、エクステリアとリフォームコーナーが同居しているということですね。
そうです。建物で約630坪、外回りで約360坪です。回遊してもらい、いろいろな提案に気付いてもらう店づくりをしました。カフェコーナーを設けてみたり、キッズコーナーを設けてみたり、他店にはなかった企画です。

ゆったりとくつろげるカフェスペースを新設
今期は反動減を見込む
――ただ、新店がオープンしても今期は消費増税の影響で市場が冷え込んでいて、厳しい状況だと思いますが。
その通りです。今期は反動減を見込んでいます。
――中長期の戦略はどのように考えていますか。
店の売り上げアップ策として、まず考えるのは出店、それから新規事業の開拓。もう1つは単価のアップです。出店については親会社と同一歩調を取ります。新規事業についても模索していますが、すぐに成果につながるかというと、そうとも言えない。今やるべきことは工事単価のアップ。100万円以下の工事をいかに100万円以上にもっていくか、これしかないと思います。
――そのための方策は。
提案営業をしましょうということで、各営業に定額のパック商品から脱却し、お客様にとって何が理想のリフォームなのか、そこを提案するようにしなさいと指導をしている。これについては社内研修や、外部講師を呼んでの勉強会もしています。これが直近でやるべきことと思っています。
――目指されている単価はあるのですか。
これは結果の問題ですね。今の単価約24万円をいつまでに25万円にするという計画は立てられませんが、まずは人を育てること、それが優先。中期的にも、最終的に人材が育ってくれば数字は伸びると思います。定額のパック商品の販売を推進していては、人が育たないので、危惧しないといけません。

子供連れの家族が立ち止まるように遊具を設置
接客を重要視
――人を集めることができるホームセンターという強みがありますので、いかにメーカー別の商品の違いなどを説明できるかと思います。
例えばチラシで29万8000円を見て来られたお客様、これを単価アップするには接客しかありません。当社は対面接客を1番重要視していますが、人が育ってくれば必ずできます。特に水まわりのキッチンとお風呂の単価が上がらないと、相対的に全体が上がりません。お客様の「問題解決」を図ることで、結果として単価のアップにつながると思っています。
――単価アップするため、商品の品揃えについても工夫があるのですか。
メーカーの特徴を生かした商品、それから10万円台、20万台、30万台と価格帯の整備。この2パターンで商品を揃えています。価格を重要視されるお客様にとって、より付加価値の高い提案を行い、逆に一部の機能などを希望されるお客様には、「この商品です」と実物を見ながら話せる品揃えをしています。
――イベントも定期的に行っていますか。
全店で行うものを年4回か、多い時は5回ほど行います。動員数は時期によって違いますが、多い時は2日間で4000人を超えますね。
――とにかく、集客力は一般のリフォーム会社にないものがありますから、そこをいかに生かしていくかではないですか。
その通りで、集客力が1番の魅力。私どもがここまでやって来られたのはホームセンターの集客力のおかげだと思います。

本社 * 茨城県土浦市 / 売上高 * 127億7000万円 / 店舗数 * 12店舗(ジョイフル本田15店舗中12店舗に出店)
店舗面積 * 平均約670坪(最大店舗では50台以上のキッチンを展示) / リフォームスタッフ数 * 393人(パートが約3割)
店舗当たりのスタッフ数 * 20~30人(営業6~12、3人・現場管理1店舗4人前後)
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