スター・マイカ 秋澤昭一社長
賃貸マンション1500戸を保有
中古マンションの再販事業を手掛けるスター・マイカ(東京都港区)。年間400戸を分譲しており、再販売上高は約100億円。ユニークなのは入居者のいる賃貸中のマンションを大量に保有し、退去して空室となった部屋から順にリノベーションしていくという独自のビジネスモデル。秋澤昭一社長に現状と今後の方針について聞いた。

1部屋1部屋プランするリフォームも強み
「賃貸中」を買い取る
――再販ビジネスのカギとなるのが物件の仕入れです。スター・マイカでは賃貸中の中古マンションを仕入れるのが他の再販会社と大きく異なる点ですね。
一般的な再販ビジネスでは空室を買い取りますが、私どもが投資するのは賃貸中のマンションです。当然、人が住んでいますから、すぐにリフォームして販売することはできません。私どもは自然退去するまで待っており、空いたら一件一件リフォームを施して販売しています。
―― どれくらいの物件を保有しているんですか。
戸数で言えば1500を超えます。資産価値でいえば311億円ほどになります。年間500部屋ほどを購入していて、そ のうち約400部屋を再販していますので、年100室ほど増えるというイメージですね。
――なぜすぐにリフォームして売れる空室を買わずに、このようなモデルにしているのでしょう。
空室を買ってリフォームして再販するのは、どんどんと回転率を稼ぐモデルなんです。これは大量生産、薄利多売になりがちで、もしマーケットが落ち込んでいくと受けるダメージも大きいんです。
私どものモデルは販売戸数が伸びるかは賃借人しだいにはなりますが、常に一定数の物件を持ち、かつ保有している物件からの賃貸収入もありますので、収益に安定性があるんです。私どものモデルは再販と賃貸の両方の収益を得られることがメリットです。
改装に300万円超
――「スター・マイカモデル」に似たビジネスモデルを採用している企業は少ないですね。
ファミリーで借りて住んでいる方はなかなか引っ越さないのが普通です。簡単に生活拠点を変えませんからね。つまり退去するのは1年後なのか、10年後なのか、いつ引っ越しするか全く分からない。そういう物件を仕入れるということは、なかなか真似ができることではないんですね。
――どんな物件を仕入れていますか。
エリアは首都圏の流通性の高い中古マンションが中心でしたが、今は大阪支店もつくりましたので関西圏も投資し始めています。広さは50平米ほど。古さは旧耐震のものもありますが、1件1件吟味しています。
――改装はどんな内容ですか。
投資額としては300万~400万円。基本的にはフルリノベーションですが、仕様については全戸画一的にはしません。価格訴求タイプで割安感を打ち出した仕様にするものもあれば、若いDINKSが住むことを想定して少しエッジの聞いたデザインにするものもあります。そのエリアやターゲットに応じて決めています。
また、「しあわせリノべ研究所」という女性の企画チームもあり、より女性に快適で暮らしやすいリフォームをしているものもあります。
――いくらくらいで販売しているのでしょう。
平均3000万円。62平米で築23年程度のものが中心ですね。
2017年に500戸販売へ
――購入者の特徴はありますか。
年収では400万~600万円。年代は30~60代までさまざまですが、やはり一次取得者が多い。最近はリノベーションの認知度が高まってきていまして、購入者の4割以上がリノべ済み物件を仲介会社に案内され、それで買っていただいています。購入理由の大きなものはやはり「お手頃感」。価格の割安さというのが買う動機の大きな1つです。
――前期(2014年11月期)は全ての事業を合わせて年商139億円でした。2017年に年商200億円を目指していますね。
販売戸数では25%増の500戸にしたい。これまで新築を欲しがる方は、あくまで新築。中古を見なかった。しかし、今は新築が高過ぎてしまい、選べない状況になってきています。そういう中で、リノべ済み中古マンションへの注目が今後さらに高まっていくと思います。
スター・マイカ 秋澤昭一社長
1965年生まれ。藤和不動産株式会社、パシフィックマネジメント株式会社などを経て、2011年にスター・マイカ入社。2012年に取締役戦略事業本部長。2014年代表取締役社長就任。

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