インテリックス、中古マンション再販11...

インテリックス　山本卓也社長

「地方展開」、「内装工事No.1」に重点

　中古マンションの買い取り再販事業で国内トップレベルの実績を持つインテリックス（東京都渋谷区）。年間の再生マンション販売数は約1100戸で、年商は約260億円。今後の方針について山本卓也社長は、「地方展開」と「施工」を強化したいと語る。

施工力をいかした新事業を強化する

将来は2000戸に

――買い取り再販ビジネスは今、多数の業者が参入してきたことで仕入れ競争が過熱してきています。中でも首都圏がそうです。この状況についてどうみていますか。

　私どもは以前、年間1500〜1600件ほどの物件を購入していましたが、今は1200件くらいになっています。「この不動産を買っていただけますか？」という仲介会社からの情報は以前と変わらないにもかかわらず、私どもの仕入数は減っています。それはなぜかというと、他社が私どもより高い価格で不動産を買っているからなんです。私どもがそれを取り返そうと入札すれば、不動産価格はさらに高くなってしまいます。私どもには月に1300件もの仕入れ情報が来ますが、他社と入札競争はせず、1件1件精査して仕入れています。

――首都圏で年間50戸以上再販している企業はどれくらいあると思いますか。

　100～200社くらいはあるでしょうね。今はインフレ傾向なので、新規参入した業者が高値で買ってしまっても、結果うまくいってしまう。どこのタワーマンションも去年と比較すると、3割くらい上がっていますからね。

――これまでは首都圏が中心でしたが、昨年からは地方展開を本格化していますね。

　札幌、大阪、福岡、名古屋、そして昨年9月に仙台にも拠点を開設しました。そのうち仕入れで最も多いのは大阪で、次は名古屋。地方では毎月30～40戸仕入れています。1月は120件仕入れて、35件くらいが地方でした。今期末にはこれが50戸くらいになりそうです。都心部はライバルが多いのですが、地方は競合が少ないので広げやすい。来的には地方と首都圏の仕入れの割合を5対5にしたい。仕入れも全体的に増やし、年間2000戸は目指せると思っています。

――地方展開が今後の重点戦略の1つですね。それ以外にありますか。

　今は「施工」に力を入れています。今、大手企業の中でもリノベーション事業を始めるケースが増えてきています。一部上場しているような会社が、ある程度のクラスの物件を買って、責任施工してもらえる業者を探してみると、あるようで、なかなかない。そこでうちに依頼が来ています。私どもは仕入れられる物件は買うけれども、高いものは他の会社に買ってもらって、その工事を請け負うスタイルを目指しています。つまり、同業者をライバルと見ずにパートナーとして見る。

――年間1000件以上のマンション改修を行っている会社はそうありませんからね。

　リノベーション現場は、新築の現場とは全く違う。上下左右に人が住んでいますので、いい加減な業者を入れたら大変。周りには受験生や昼間寝ている人がいたり、騒音などに気をつけないとクレームになりますから。私どもにはそれらのノウハウがあります。さらに良い工事をするために今、「多能工」の養成に力を入れています。大工、電気、水道、設備などを一人でできたら、現場に入る職人の数を減らすことができます。

外から1000現場請負

――「施工力」を生かした、新たな事業を育てていくわけですね。

　今は職人を社員として抱えていこうとしています。マンションの施工は、朝9時で夜5時に終わり、土日が休み。これはサラリーマンと働き方が一緒。まだ今は数人しかいませんが、「サラリーマン大工」を養成していきたい。

　請負工事というのは将来なくなることはなく、不動産ビジネスのように景気に大きく左右されることはそうない。さらに今後は圧倒的に職人が不足していきますから。将来的には1000現場を外部から請け負いたい。1件500万円であれば、1000現場で50億円になる。マンションの内装工事でナンバーワンを目指します。

――中古マンションの流通数は増えていくのでしょうか。

　首都圏においては今、中古と新築がほぼ拮抗しています。それにリーマンショック後も中古の成約数は増えているんです。新築は減っていくと思いますが、中古は安定して、確実に増えていくでしょう。

《プロフィール》
不動産会社にて営業・開発業務などを経て、1995年に現インテリックスを設立。再生マンション「リノヴェックスマンション」事業を展開。売上高は263億円。再販マンションの平均単価は2170 万円。（いずれも前期ベースの数値）