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福井コンピュータアーキテクト、プレゼン...

福井コンピュータアーキテクト、プレゼンに特化した新ソフトをリリース

福井コンピュータアーキテクト
林治克 社長
1165号 (2015/04/21発行) 7面
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福井コンピュータアーキテクト 林 治克社長

福井コンピュータアーキテクト 林 治克社長

 住宅用建築CADの分野でトップシェアを誇る福井コンピュータアーキテクト(福井県坂井市)。今年に入ってから、主力商品の「アーキトレンド ZERO」のバージョンアップや、新しい住宅プレゼンソフト「アーキトレンド Modelio」のリリースなど、活発な動きを見せている。同社の今を林治克社長に取材した。

前期売り上げは好調87億円超を記録

――建築用のCADの販売を行う事業会社として福井コンピュータアーキテクトが誕生したのが3年前ですか。

 2012年7月ですね。福井コンピュータは1979年の設立なのですが、福井コンピュータホールディングスとして持ち株会社に移行し、土木工事向けのCADの販売を行う福井コンピュータと、建築向けのCADを販売する福井コンピュータアーキテクトが誕生しました。サポートを行う福井コンピュータスマートも加えて、3社で福井コンピュータグループを構成しています。

――林社長はずっと経理畑でしたとか。

 1989年に入社しているのですが、当時は営業でした。91年から株式公開の準備に携わり、95年には無事に上場を果たしました。その後、98年に社長室、99年から経理部に所属していました。

――会社としての浮き沈みが上場からの30年でも色々あったようですね。そういった会社の歴史に立ち会って来られた。

 そうですね。98年には創業以来初の赤字に転落し、希望退職者を100人ぐらい募りました。その後も健康器具事業に参入、撤退など色々ありましたね。2006年に東証2部上場、翌年には1部上場を果たしています。10年に創業者が退任され、12年に持ち株会社体制に移行しました。振り返ると、株式会社移行前は会社の存続と雇用を守るための経営に専念していた気がします。

――前期はグループ全体で売上高が87億円あまり、経常利益も20億円超と好調でしたね。

 昨年は消費増税の影響などもあり、住宅業界の業務が非常に増えましたから、それに連動してソフトの売上も上がりました。アーキトレンドのユーザーは3万弱、社数で1万社の方に使っていただいていますが、ウィンドウズXPのサポートが終了することなどもあり、多くの方に最新バージョンにアップデートいただいたのも大きかったですね。今のところ、今期は前期を上回るペースで推移しています。

プレゼンに特化したアーキトレンド Modelioの画面
プレゼンに特化したアーキトレンド Modelioの画面

ユーザーに利益をもたらす会社に

――今年も2月に最新バージョン「アーキトレンドZERO」をリリース、4月にはプレゼンに特化した「アーキトレンドModelio」をリリースと活発な動きですね。特に初のプレゼンソフトとなるModelioには注目も集まっていると思います。

 Modelioは営業などの最前線で働く人が簡単にプレゼンを行えるようにするソフトです。やはり、プレゼンには設計とは求められるものが違ったりしますし、とにかくスピードが重視されます。営業の人でも簡単に間取り図を描けばプレゼンできるというソフトを目指しています。

――非常にシェアの高い設計に加え、プレゼンという領域に出て行く背景はあるのでしょうか。

 設計のCADとしてアーキトレンドシリーズは大変多くの方に愛用していただいています。ありがたいことに、ユーザーの方からは弊社について「建築設計にはなくてはならない会社」という評価を頂くこともあります。私どもはさらに一歩進んで「建築業界になくてはならない会社」になりたいという思いがあります。そのために、私どもにできることを広げていきたいのです。プレゼンはそうした中の一つですね。

――プレゼンテーションの重要性は増していますからね。今後もModelioは強化していくのでしょうか。

 来年にはModelio2ともいうべき、新しいソフトも考えています。5ライセンスからという契約形態を見ても分かるように、中規模のビルダーさんがメーンターゲットとなっているModelioをより簡単に早く扱いやすくすることで、小規模の会社でも使いやすいものになります。リフォームでも使いやすくなると思います。

――4月にはさらにアーキトレンドZEROのバージョンアップも行いますね。

 改正省エネ基準への対応をさらに強化した「アーキトレンド ZERO 2015R1」を発売します。長期優良住宅やフラット35Sなどの申請に必須になりますから、そこをカバーします。

使う人に合わせてカスタマイズして使いやすくなるアーキトレンド ZERO
使う人に合わせてカスタマイズして使いやすくなるアーキトレンド ZERO

――省エネ住宅ポイントもスタートして消費者の省エネへの関心も高まるでしょうね。こうした新しい制度に対応するために、申請業務はどんどん増えて工務店やリフォーム会社は大変です。

 煩雑な申請をより簡単に行うために、ITの活用は有効だと思います。なかなか建築業界のIT化というのは進んでいませんが、私たちがどのようにそこに貢献できるかという点も今後は大きな課題です。分かりやすく、設計支援、プレゼン、資金繰りなどの色々な面からIT化のお手伝いができればと考えています。

――他にも、構想されていることがあるのでしょうか。

 もっと言えば、様々な面でユーザーの方をサポートして、ユーザーの方に利益をもたらす会社として認識していただきたい。そのためには、パッケージを売るだけでなく、今後はサポートやノウハウの伝達などのサービススにも積極的に取り組みたいと考えています。最近の取り組みとしては、スマートスクールというものがあります。

――どんなものでしょうか。

 ユーザーの方にうちの支店に足を運んでもらい、受講していただく授業ですね。1カ所で行う授業を15カ所まで一斉に配信することができます。ソフトを売って終わりではなく、ソフトを有効活用してもらうために、また使い続けてもらうためにこうした取り組みを行っています。来ていただいた方に「何にか、ためになったぞ」と思っていただければ嬉しいですね。配信は2月に開始したばかりですが、非常に好評を頂いています。授業の内容もどんどん充実させていく予定です。

――御社にとっても一斉配信で同じコンテンツを全国の拠点で受け取ってもらえれば、サポートや保守を効率的に行えそうですね。他にも予定していることなどはありますか。

 まだ、構想段階ですが、3次元の建材データをカタログのように見てもらえるサイトを考えています。自動車の部品などは3次元データが有るのが当たり前ですが、住宅業界ではまだまだです。住設や建材のカタログを見る感覚で、3次元の建材データを見てもらい、気に入ったらそのままCADに取り込むこともできる。こうしたサイトを営業でも設計でも活用していただくことで業務の効率化ができると思います。現在、既にヴァーチャルハウスドットネットという建材データのダウンロードサイトを運営していますが、さらにそれを拡大、充実させたものになるかと思います。

――3次元データの建材を選ぶとネット上で家づくりをシミュレートできる時代も近いのかもしれませんね。住宅会社のIT化はなかなか進んでいないのが現状ですが、遅かれ早かれ対応していかなければいけないのは間違いないですね。

 そうですね。建築に関するソフトウェアの業界も発展していかなければいけないでしょう。弊社も安売りに走るのではなく、お客様に提供できる価値を高めていきたい。メーカーとしてしっかり利益を上げることで、さらに商品、サービスを強化してお客様に還元していかなければいけません。

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