サンワカンパニー 山根太郎社長
5000アイテム、「ワンプライス」展開
既存の流通を介さずに、ネットで住宅設備・建材を販売するサンワカンパニー(大阪府大阪市)。デザインにこだわった商品ラインアップや、プロにもユーザーにも同じ価格で販売する「ワンプライス」など、他のメーカーにはない独自のビジネスモデルを展開している。2013年には東証マザーズに上場し、14年9月期の決算では売上高68億円を計上している。山根太郎社長は「サンワが提案する空間に住みたいと考える人を増やしていきたい」と話す。

キッチンはすべてPB。ステンレス加工技術を生かしたデザインにこだわる
売上高の8割がPB
――ウェブサイトではキッチンなど18カテゴリーの商品が販売されています。
アイテム数は5000弱、SKUベースでは6000弱あります。ネット販売を始めた2000年頃は、輸入したタイルとフローリングしかなかったのですが、その後、オリジナル商品を開発しアイテムを増やしてきました。今では全体の4000弱がプライベートブランド(PB)。実際に売り上げの8割がPBです。
――月間でどれくらいの注文がありますか。
3500~4000件ほどの注文があります。平均単価は16万円ほど。件数では洗面が4割でトップですが、売り上げベースでは、キッチンと洗面がそれぞれ3割でトップ。今、ウェブサイトのページビューは月間300万あるのですが、今後さらに商品を増やし訪問者数を伸ばしていきたい。
6割が「施主指定」
――価格表示もメーカーとしては異例のワンプライスに統一していますね。
工務店や建築家の方からは分かりやすくていいという声が多い。中には「サンワさんは値段がオープンなんですよ」と、お客さんにウェブサイトに載っている価格を見せて信用を得ている会社もあります。リフォームを検討される方の61%が「価格の透明性」を気にしているというデータもあり、ワンプライスは重要なことです。
――価格もネットで直販なので、割安感のある商品が多くあります。
例えばキッチンは27種のラインアップになりますが、機器を入れないキャビネットはおおよそ15万~25万円です
――ショールームには数多くのキッチンが展示してありますね。
ショールームはネットのバーチャル空間で見たものをリアルで見るインターフェイスだと思っています。そのため目的を持って来場されることが多く、コンバージョンが高いのが特徴です。ブランディングとアクセスの良さを重視しており、東京、大阪、福岡、名古屋にあります。
――どんな方が購入されているのでしょうか。
施主自身が決済し、配送も施主向けに行う、いわゆる消費者への「施主支給」は20%。施主が選んだものを設計事務所などのプロに決済してもらう「施主指定」が60%。残り20%は法人になります。
私どものビジネスの形態はBtoBではなく、BtoABCと言っていて、Aは建築家のアーキテクツ、Bはビルダー、Cはコンシューマーになります。当社としては建築家の方にもっと利用してほしいと思っています。私どもは、大阪弁でいえば「これ建築家の方が喜ぶで」という基準で、商品を決めています。建築家の表現力を広げられる商品を選んでいます。
メーカーがトレンドを発信
――山根社長は創業者の息子さんになりますね。
私は元々伊藤忠で繊維をやっていましたので建築とは畑違いなんです。創業者の父が亡くなる3日前に、「まかせられる人がおらんから頼むわ」と言われて、この会社に。それなのに父は、私がアパレルのブランドマーケティングに進むということに反対しませんでした。それは、この会社をゆくゆくは世界に羽ばたくブランドにするために役立つ、と思っていたからだと。
――これからどんな提案をしていきますか。
サンワが提案する空間に住みたい、という人を増やしたい。実は、リフォームする人の6割が「家が古くなってきたから」という理由で家を直します。服は、「古くなったら」ではなく、「トレンドが変わったから」買い替える。では、そのトレンドはどこが発信しているかというとメーカー。当社がするべきことはそこ。そういう意味では住宅市場だけ見ていてもだめ。一般消費市場は280兆ある。私どもはそこから1兆円とりたい。
1983年、兵庫県生まれ。2008年3月、関西学院大学経済学部卒業の後に、伊藤忠商事株式会社に入社。14年4月株式会社サンワカンパニー入社、商品部長に就任。同年6月、代表取締役社長就任。

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