ウィル 佐藤慎二郎取締役
不動産営業40人と連携
不動産事業を柱とするウィル(兵庫県宝塚市)は、中古住宅の仲介時にリフォームを積極的に提案することで業績を伸ばしている。昨年12月の決算では、リフォーム売上高が前年度比31%増の12億5000万円。今期は14~15億円を計画している。中古住宅仲介とリフォーム営業を組み合わせるビジネスモデルについて、佐藤慎二郎取締役に聞いた。
中古購入者の70%が改修
――ウィルは兵庫・大阪を地盤に不動産売買事業を主力にしています。
不動産の売買を行う営業マンが全体で40人ほどいます。あくまで家が欲しいという方を対象にしているので、新築も中古も土地もご提案します。ただ、他の不動産会社と違うのは、中古住宅を買われるお客さんには必ずリフォームのご提案も行うということです。実際に前期は66件の中古住宅を仲介しましたが、そのうち70%がリフォームにつながっています。
――1件の平均単価はどれくらいですか。
中古住宅のリノベーションについては800万~1000万円。ただ、私どもは中古住宅のリフォーム以外にも、お引き渡ししたOBの方の網戸交換などの小さなリフォーム工事なども請け負っていますので、それらも含めるとリフォームの全体平均は400万円ほどです。
一つ一つオーダーで作り上げる
改修工事の成約率は9割
――一般的な不動産会社はリフォームの提案を苦手としています。
まず、会社の方針として中古住宅を買われる方にはきちんとリフォームもご提案しようという考えがあります。さらに不動産営業のほとんどが新卒で入ってきているので、リフォームを提案するのが当たり前だという認識を持ってもらいます。そして、不動産営業をサポートするリフォーム営業が7人おり、このようなスタッフがいることも大きい。彼らは不動産営業の商談に関わったり、物件の内覧に同行したり手助けをします。実際にお互いが連携することで、リフォームの成約率は9割にもなります。中には1人で2億も売り上げる営業さえいますよ。
――ただ、大掛かりなリフォームになるので、相当な手間や時間がかかります。生産性や営業効率をどう高めていますか。
営業の他に実施設計担当2人、積算2人、施工管理5人、その他ファイナンスを主業務とするグループ会社もあり、それぞれの役割をはっきりさせ、システマチックにしています。これがクオリティや収益性を維持することにもつながります。
手数料割引で物件増やす
――どんな中古住宅を取り扱っていますか。
不動産価格は1800万~1900万円です。マンションが6割で、戸建てが4割です。
――このビジネスは中古住宅の仲介数とリフォームの売り上げが連動しますので、仲介の数を増やさなければなりません。
その通りで、そもそもの不動産を動かさないといけない。今、中古住宅の仲介を2~3割増やしていこうという方針をとっています。中古を買いたいというお客さんにより良い不動産をご紹介するため、売りの不動産情報を集めているところです。ですが、この売りというのは大手が強く、そちらに流れていってしまう。だから差別化を図るために、早く売却できたら手数料を割り引きますよ、というサービスを開始したんです。また、物件を買われる方にも平日に契約してくれたら30%手数料を割り引いています。
――紹介物件のバリエーションを増やすと。
良い物件は大手が抱えていて、どれだけ電話しても商談中というようなこともあり、紹介できない物件もあるんです。だからうちに相談しにきていたけれども、やはり物件は大手で買ってきて、リフォームはうちに依頼してくるということもあります。こういうこともあるので売り物件を持っていないと、買い客が集まってこないんです。手数料を割り引いたとしても、私どもはリフォームがあるので痛くはありません。
――今後の方針は。
中古住宅の方を伸ばすことと、さらにグループに遊という富裕層向けのリフォーム会社があります。ここは2000万円以上のリフォームをメーンにしていて、この会社でも売上高3億円を目指していきます。

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