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アマゾンジャパン、顧客目線の追求からリ...

アマゾンジャパン、顧客目線の追求からリフォーム参入

アマゾンジャパン
DIY・工具・ガーデン事業部 市川峰央 シニアカテゴリマーチャント マネージャー
1180号 (2015/08/11発行) 6面
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アマゾンジャパン DIY・工具・ガーデン事業部 市川峰央 シニアカテゴリマーチャント マネージャー

アマゾンジャパン DIY・工具・ガーデン事業部
市川峰央 シニアカテゴリマーチャント マネージャー

約5500種の定額制を提供

 異業種企業の業界参入が相次ぐ中、ついにEC(電子間取引)事業で国内最大手のアマゾンジャパン(東京都目黒区)がリフォーム事業を開始した。実際のサービス提供者はストア内に出店する積水ハウスグループ、大和ハウスリフォーム、ダスキン、ソニー不動産の4社。現在、約5500種のリフォーム商品(工事費込み)が提供されている。同事業担当者であるDIY・工具・ガーデン事業部の市川峰央シニアカテゴリマーチャントマネージャーに戦略を聞いた。

現在、積水ハウスグループなど4社が出店
現在、積水ハウスグループなど4社が出店

物販から施工付きへ

――2012年から新築とリフォーム商材をまとめた物販サイトをアマゾン内に開設していました。今回、工事付き商材をまとめた新サイトをオープンした理由とは。

 部材販売だけだったのですが、工事サービスもやってほしいというお客様の声があり、今回のサイト開設につながっています。そして、色々調べていく中、リフォームでお客様が困ったり、嫌な思いをされていたりすることが分かり、定額制でスタートすることになりました。

――「地球上で最もお客様を大事にする企業」という御社の使命が新たなサービスに結び付いているのですか。

 ただただ、その通りですね。リフォームは住環境を良く改善させていくことが本質の1つかと思っています。それを自分でやりたい方もいますし、費用を抑えたい方もいる。今回、メニューにクリーニングが入っている点で違和感があると感じる方もいると思いますが、例えばトイレを交換しなくてもプロに徹底的に掃除をしてもらったら費用が安く済んだとか、お客さんのニーズに応えられるじゃないかと考えています。

――アマゾン内では、住宅関係部材の物販も残っていますから、お客さんが自由に選べるわけですね。

 あえて部材もあるし、プロのクリーニングもあるし、工事付きサービスもある。お客さんが一番良い方法を提供したいという思いです。

―― 商品カテゴリーとしは、キッチン、洗面台、トイレ、お風呂、給湯器、収納・整理、窓、手すりの8部位。プラス先ほどのクリーニングと建物調査があります。中心となるのは水まわり工事でしょうか。

 私どもで、このカテゴリーを厚くという話は基本的にありません。出品者様もお客様の声をたくさんお持ちですし、最終的に決めるのは出品者様になります。

――するとエリアも当然、出品者が対応可能な範囲になりますね。

 ダスキン様のハウスクリーニングは全国対応ですが、リフォームは積水ハウス様が一番広く、21都府県になります。

――ちなみに、家全体をやりたいなど複合部位で考えられている方への対応はできるのですか。

 複合の場合は複数で買っていただくことになります。ただ、丸ごとパックという商品がありまして、トイレ空間ごと、それこそ取っ手とかペーパーホルダーを含めた空間ごとの商材があります。

――お客さんが頼む流れはどうなっていますか。

 お客様から注文を頂きますと、その情報がご出品者様に行きまして、お客様にメールか電話で連絡が入ります。ここでは購入の確認と訪問日の確認をした後、必ず訪問し、現地の下見を挟みます。そこで定額でどうしてもできないものもやはり出てきてしまう。その場でお客様にOK、NGの話をし、請負契約を結んでいただく流れです。

――良ければ、契約につながるわけですね。

 はい。ただ、契約は出品者様とお客様の間で行います。アマゾンは介入しません。費用は下見が終わり、OKが出たところで課金されます。

――つまり、前払いですか。

 全額前払い、カードのみの支払いです。

サービス拡充は顧客次第

―― 今後の方針ですが、現状ではまだ対応しきれていない工事やエリアがあります。出品者は増やしていく方向でしょうか。

 基本的にはお客さまの声をくみ、商品の幅を広げ、厚くしていきたいと思っています。お客様の声次第ですね。

――自由に出店はできないのですね。

 このプラットフォームを始めたばかりですから、招待制というか、お声をかけさせていただく方式です。やはりオンラインでの買いやすさにこだわり、定額制にしたコンセプトもありますので、出品者の方がお客様のために盛り上げられるか。ビジョンも含め、共感いただけるかはすごく大事にしたいです。

――ちなみに提供価格は、御社も一緒に決めているのでしょうか。

 出品者への価格や中身に対する強制力は全くありません。ただ私どもの方で100万円以下が売れ筋になるだろうといったデータは多数ありますので、そういった情報をお渡ししますが、ご判断いただくのは出品者様です。

――そもそもアマゾンさんは、1億種以上の商品を扱い、月間4000万人以上の利用者がいます。その中で、リフォームを扱うことで、エンドユーザーの方がリフォームに触れる機会が増えることに期待しています。

 私どもは中古車販売なども行っているのですが、固定価格でして、車が大好きな人からするともっと安く買えるよといった意見もあります。ただ、私などは車にそんなに興味がないので、何キロ走ったなどの中古車サイト情報ではどう判断していいか分かりません。

 そんな中、例えば33万円定額で消耗の激しい部品は全部新品にします。車庫証明も出します。あなたが必要なのはこのボタンをクリックするだけですとなれば欲しいと私は思います。

――リフォームも全く同じ。ハードルが低くなると買いやすいと考える人は多いと感じます。

 ずっとトイレが気になるけど見積もりを取るのも面倒だし、取ったところが正しいか良く分からない。そうしたお客様の声を拾っていきたいと思っています。今までずっと気になっていたけど、できなかったリスクを下げることでニーズが広がるのかなと。だから、定額制に徹底的にこだわっていきます。

選んでもらう1社に

――実際、アマゾンの日々の買物客をリフォームにうまくひも付けしていけるのでしょうか。

 どんなお客様がリフォームに興味をお持ちかというデータを持っていますが、プッシュしていくというよりは、お客様の選択肢の中に入り続けることが重要なのかなと思っています。仮にキッチンが80万円だとしますと他と比べ、アマゾンが高いから売れない場合はしょうがないと思います。

 そこは私どもの努力が足りないせいです。ただ、選択肢に入ったことが重要で、次に誰かがリフォームをやりたいとなった時に、アマゾンがあるから一応見てみるとなったら、いつかそこにバリューが生まれる。前回嫌な思いをしたからこっちを試してみようと、選択肢に入ることが一番目指すところです。

――エンドユーザーの方は、そもそもどんなリフォームをしていいか分からない方が多くいらっしゃいます。顧客を多く持っている中で、そうしたするべきリフォーム情報を提供することも、ニーズ掘り起こしにつながると思います。

 何を選んでいいか分らないということに関する対処法も考えています。また、施主支給のDIYでは、壁を塗りたいけど、何を揃えていいか分からないだとか、この道具を買ってどうしたらいいか分からないといったお客様の声を聞きます。そうした点で、まだまだ私どもは、お客様の要望に回答できる準備はできていないのかなと思っていますし、そうした準備をしていきたいと思います。

――ユーザーの立場に立つと気付かされる部分がたくさんあります。

 いい意味で私どももリフォーム業界では素人ですから、お客さんの素直な意見を出品者の方にぶつけて「これだと分からないじゃないですか」とか、意見を出しているところです。


【リフォームストア概要】
所品カテゴリー * キッチン、洗面台、トイレ、お風呂、給湯器、収納・整理、窓、手すり、他(ハウスクリーニング、建物調査等) / 出品者 * 積水ハウスグループ、大和ハウスグループ、ダスキン、ソニー不動産 / 商品アイテム数 * 約5500点
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