イケア・ジャパン、キッチンを20年ぶりに刷新
イケア・ジャパン キッチンセールス担当 Chuck Bowering氏
"私らしく"数千の組み合わせ
IKEAが20年ぶりにキッチンを完全リニューアルし、新しいキッチンシリーズ「METOD(メトード)」を発売した。最大の特徴は、自らのスタイルで自由に理想のキッチンを作り上げることができる点。ブロック方式の採用により、キャビネットから引き出し、オーガナイザーに至るまで数千通りの組み合わせを可能にした。新しいキッチンのコンセプトをイケア・ジャパンのキッチンセールス担当のChuck Bowering氏に話を聞いた。
扉や取っ手、ワークトップの組み合わせで、カントリー調やモダン、北欧調などさまざまなデザインを自由に選択できる。選べる数は食器まで含めると約850種類(世界では約1150種類)に及ぶ
生活ニーズへの対応
―― なぜ新しいキッチンの販売を決意したのですか。
前のキッチンは20年ほど販売していましたが、ある時、IKEA全体でキッチンを改良しなくてはいけない、変化しなくてはいけないとの話になりました。20年間売れているロングセラーですので、品質には問題なかったのですが、世間の生活がどんどん変化している。その中で、将来のキッチン像がどうなっていくかのリサーチをかけました。
――どんな結果が導き出されたのでしょう。
日本は、都市に人が集まってくる状況にあります。過疎化が進んでいるエリアがとても多いため、限られた空間で生活する人が増えている一方、とても広いスペースに住まわれている方もいらっしゃる。
また、アジア人でも小さ目の方もいれば、大き目で背の高い方もいます。この20年間で体型も大きく変わりました。そして労働時間が非常に長く、かなり忙しい生活を送っていますので、家での生活の中で、効率化を進めることもテーマになっています。そのような社会的なトレンドが需要につながると思っています。長く使えてリサイクル可能ということも大切ですね。
――そうした需要を基に新しいキッチンの開発を進めたわけですね。
世界中の人々の暮らしに合った提案をするために変化が必要でした。実は1960年代からIKEAではキッチン売っていて、その頃はお客様自身が扉を塗っていたのです。70年代、80年代、90年代とどんどんと中身を変えていきました。


引き出しの内部をどう利用するかは自由自在。写真ではカトラリーケースを入れ、ナイフやフォークを収納している。こうした内部部材はプラスチック製と竹製、2種から選択できる
スタイルの選択もお好みで
――今後も人口減少や高齢化が進むことから、生活環境が大きく変化していくと思われます。
そこでブロック方式の採用により自由自在なキッチンの組み合わせができるようにしました。日本の方が好きなアイランドキッチンにすることもできますし、サイズを小さくすることも可能です。スタイルもモダンや北欧調、カントリー、トラディショナルなど選べます。また、グローバルサイズでは、20、40、60cmと20cmごとに広げられますが、日本では15cm、75cm、90cmを用意し、定番の2550サイズに合うように作ってあります。
――つまり日本のニーズに合わせた商品販売をしているのですね。
実際にお客様宅の自宅にいき、どんなフラストレーションがあるかの聞き取り調査もしました。例えば炊飯器はスチームが出るので、置き場所のために引っ張れないといけないとか、お皿を乾燥する場所はラーメンボウルなどが入るように深さを考えなくてはいけないことがわかりました。カウンタートップもグローバルの場合、床から91cmの高さですが、日本は低めの86cmを用意し、2種類から選べるようになっています。
―― 箱形のキャビネットと扉や引き手などでスタイルを組み合わせ、自由なキッチンを作れるというわけですね。これであれば、今後変化する生活ニーズにも対応できます。
キャビネットの高さも40、60、80、200、220cmの種類があります。"Me,my kitchen,my way"。つまり、私がいて、私のキッチンがあって、私らしく作ることができる。
――キャビネットも皿や、グラス、カトラリーなど、しまうものに合わせた部材を選べるのですね。
中と外の引き出しをどう組み合わせるか、中にどういうものを入れるかで価格帯が決まってきます。当然たくさん引き出しを入るとコストがかかってきます。引き出しの機構の種類も2種類あります。ソフトクローズが付き100%開けることができるマキシメーラともう1つがフォルヴァーラです。
ハイキャビネットの内部レイアウトも自由。扉を付けず、カラーボックスをはめ込むことでアクセントとすることも可能。しまうモノを考えた柔軟な選択ができる
部材の素材も2種類から
――引き出しの中に入れるカトラリーの種類など、部材の素材も複数あるようですね。
2種類ありプラスチック製と竹製です。プラスチックはリサイクラブルですし、竹は木材よりも成長が早くサスティナブルな素材。そのため最近IKEAでは竹材を使うことが多いですね。
――日本での購入額はどのくらい。
日本は他の海外のIKEAと比べ、キッチンの購入額が高めです。平均85万円ぐらいです。ストアで見せているのが18万9900円~ですが、キャビネットなどを無しにしたら当然価格は下がります。
――お客さんがキッチンを購入するまでの流れを教えてください。
大体3ステップです。まず、IKEAのキッチンエリアに入ると「いらっしゃいませ」というスタッフがいます。そこで、キッチンに興味があり質問したいというお客様には別の専門スタッフを紹介し、キッチンプランニングに進んでいきます。そして最後に、施工会社の方が家に出向き測量します。イケアホームプランナーというウェブで作れるレイアウトもあるのですが、そちらをお客様に作っていただき、実店舗でキッチン担当者と話をすることも可能です。
――施工事業者は何社くらい。
大体エリアごとに分かれていて、3つの企業さんをメーンにやらせていただいています。施工費はキッチン幅で決まる形です。プラス、キッチンのバックセットの組み立てをしていただく企業もございます。
――対応エリアは。
いわゆるストアがあるエリアですね。ただ、これからキッチンのサービスを拡大していく予定ではあります。

設立 * 2002年7月(スウェーデン創業1943年) / 資本金 * 1億1000万円
本社 * 千葉県船橋市 / 店舗数 * 8カ所 / ビジョン / 「より快適な毎日を、より多くの人々に」

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