TOTO、「フラッシュタンク式」洗浄を壁掛に初採用
TOTO
トイレ空間パブリック商品開発部 トイレ空間パブリック商品開発
第一グループ 島野晃輔さん
――TOTO独自の新洗浄システム「フラッシュタンク式」にはどのような特徴がありますか。
フラッシュタンク式は、「フラッシュバルブ式」と「タンク式」の長所を兼ね備えた新しい洗浄システムです。現状ではパブリックトイレの主流はフラッシュバルブ式またはタンク式ですが、各々に長所と短所があり、現場に合わせて使い分ける必要があります。便器やタンクを取り付ける現場の担当者の声を聞き、両方の"いいトコ取り"をしたのがこのフラッシュタンク式です。
――それは便利な商材ですね。具体的な特徴は。
タンク式と同じ口径15A(外径約22ミリ)の細い給水管で、フラッシュバルブ式(給水口径25A、外形約34ミリ)と同等の連続洗浄ができる点に大きな特徴があります。細い給水管の場合は水流が弱いので、タンクに貯水するのに約1分間かかるのですが、フラッシュタンク式では独自のシステムによって約20秒の間隔で連続洗浄することができます。
――どうしてそのようなことが可能なのですか。
理由はタンク内部の仕組みにあります。フラッシュタンク式では、給水した水をタンク内の太い管の中で噴出させて周囲の水を巻き込み、瞬間的に水量を増幅させるシステムになっています。流体力学を応用した仕組みで、給水した水をベースに、その水の噴射がタンクに貯められた水をさらに巻き込む"ジェットポンプ"の仕組みです。また全部メカ式で水が流れるので電源不要なのも特徴です。
新洗浄システム「フラッシュタンク式」のタンク内部。タンク内の水を巻き込み、増幅させた水流で便器を洗浄
――洗浄間隔が短いタンクはパブリックトイレ向きですね。施工性も向上しているそうですね。
2014年8月に発売したフラッシュタンク式の床置きタイプは好評を頂いています。弊社としてはフラッシュタンク式を次世代の
パブリックトイレのスタンダードにしたいと考えています。
――今年2月には、壁掛タイプの便器にフラッシュタンク式を初めて採用した「壁掛大便器セット・フラッシュタンク式」も発売されました。
壁掛タイプは、ライニング(便器裏の壁部分の配管スペース)内にフラッシュタンクなどの器具が納まっているので給水ホースなどが露出せず、便器も床面から離れているためモップ掛けなど掃除が簡単。また掃除口もライニング内に設置してあるので、立ったままの楽な姿勢で便器に詰まった異物の解消作業が可能です。サイズは従来の壁掛タイプと比べて奥行きが40ミリ、ライニング高さが100ミリコンパクトになりました。節水性も向上しています。雑居ビルのトイレ工事を依頼されている工務店さんやリフォーム店さんに、このフラッシュタンク式を活用していただきたいと思います。
壁掛「フラッシュタンク式」トイレ

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