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"ホテルライク"リフォームで20億円、迎賓館まで手掛けた技術とデザイン訴求髙島屋

"ホテルライク"リフォームで20億円、迎賓館まで手掛けた技術とデザイン訴求 髙島屋

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 百貨店の髙島屋(大阪府大阪市)が本格的に住宅リフォーム事業の強化を進めている。昨年5月にグループで内装工事、家具デザインなどを行う髙島屋スペースクリエイツと髙島屋の住宅リフォーム事業を統合。窓口を1本化したことで、提案の効率化を進め、今期は前年度の倍以上髙島屋単体の数字と比較となる20億円弱のリフォーム売り上げを計画する。さらに2年後には25億円の目標を掲げており、事業強化を推進する。

全国6カ所のハウスでリフォーム相談を行う
全国6カ所のハウスでリフォーム相談を行う

リフォーム100年超

 髙島屋がリフォーム事業を強化する背景にあるのは、百貨店としての顧客満足度向上だ。1831年に古着と木綿を扱う店からスタートした同社だが、1878年に屋内の敷物用織物の店を開業。これが同社の装飾品取り扱いの起源であり、家具などのインテリア、内装工事業へとつながることになる。

 物販だけにとどまらない暮らしの提供を100年以上前から行ってきた歴史から、昭和の初めから、個人のお客さんに対してもインテリア提案、工事を開始。現在は、百貨店内にあるタカシマヤインテリアステーションHOW,S(ハウス)という拠点で個人向けの提案を行う。

 ただ、従来は、建設業許可種別の関係で、できる工事に制限があり、例えば屋根工事などには対応できなかった。そこで、法人向けの内装業を主体とする髙島屋スペースクリエイツと連携。髙島屋から約20人が移り、40人弱の住宅リフォーム専業部隊が動きだした。

家具や装飾品まで

 野沢克巳住宅リフォーム営業部長は同社が提供するリフォームのイメージを「ホテルライクが軸」と話す。他社との差別化が難しい単なるメーカー商品の提供ではなく、家族構成や趣味などを加味し、富裕層に向けたホテルのようの上質な空間提供。今年責任者に髙島屋で40年にわたりインテリア事業に従事してきた野沢部長が就任したことから、単なるリフォーム工事だけにとどまらず、家具や装飾品まで踏み込み、総合的な暮らしの提供を進める。

 「ハウスにはスプーン1本からという言葉があり、生活に必要なものをすべて提供するという意味です。デザイナーものや1品もの、ハイグレードなものなど、お客様が欲しいものは何でも提供してきます。キッチンだけでも1000万円という場合もある、満足感を感じていただく考えです」(野沢部長)

 デザイン、設計では、数多くの有名内装を手掛けてきた髙島屋スペースクリエイツの技術力が生きる。古くは日本銀行、帝国ホテル、迎賓館赤坂離宮、ザ・リッツ・カールトン東京など―これらは、すべて髙島屋グループが関わってきた建物。

 「このホテルと同じようなデザインにしてほしい」「内装に合わせた家具をオリジナルで作りたい」そんな依頼にも応えられる。百貨店に出店する有名ブランドとコラボした空間提案も可能だ。

 当然、1件当たりの工事単価は高く、5月からの間で数千万円の受注も取れている。現在のところ平均単価は500万~600万円ほど。冬場はクリスマスに向け外構のインテリア装飾の依頼も入る。

著書「頭のよい子が育つ家」で知られる四十万靖氏と連携したリフォーム提案も開始
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拠点は6カ所

 具体的なリフォーム提案の窓口になるのは、外商部隊と百貨店にあるハウス。ハウスは、日本橋、横浜、新宿、玉川、大阪、京都の6店にあり、それぞれ複数のリフォーム・スタッフが常駐する。

 今後の戦略は人材の強化。高い提案力を必要とする高額リフォームを得意とするだけに、人を強化しその中で、売り上げの向上も目指す。

 「まずはリフォームの足固めだと思っています。今の人数ですべてを賄いきれてはいないので、そのため人材育成をしていかなくてはいけません。来年も増員しますが、その人はすぐには戦力にならない。でも次世代につながらなくてはいけませんので、スキルの継承を含めて、平均年齢が上がらないように今のうちに行います」と同部長。

 「さらに、あくまでお客様の要望に対応できるように一気に事業を広げるのではなく、内部で人材を充実させていく考えです。そのためには、裏返せば、売り上げが必要になる。そこで、今の6店舗を核にして展開するのですが、まだこの中でも潜在ニーズはものすごくあると思っています」

 顧客満足度を追求した、百貨店のリフォームが動きだしつつある。

【事業概要】
リフォーム拠点数 * 6カ所(髙島屋の運営する百貨店数は17カ所)
リフォーム人員数 * 40人弱(髙島屋スペースクリエイツ所属)
リフォーム売上高 * 20億円弱(2015年2月期予定)

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