総合商社の渡辺パイプ(東京都中央区)は6月6日、仕入取引先の集まりである関東千鳥会およびグリーン千鳥会合同定期総会の中で、2021年度の決算を発表した。グループ売上高は前期比106.6%の3354億7900万円となり、12期連続の増収だった。また経常利益は129億6500万円と過去最高益だった。
前期比106% 12期連続の増収
渡辺圭祐社長
4月に新社長に就任した渡辺圭祐氏は、前期の取り組みと好業績の理由を次のように語った。
「1つは交通費や交際費など経費の伸長を抑えることができたことです。2つ目として、新規開拓を約1万1000社できました。前期稼働顧客数は約8万社に及び、お客さんの小口分散が強みです。某ハウスメーカーさんでも売り上げに対するシェアは1%に満たないです。つまり超ロングテールになっています」
事業別業績では、住建事業が前年度比115.9%の902億6100万円となり、売上増のけん引役になった。現在、全社売上の3割近くを占める。電工事業も子会社も含めると売り上げの1割近くに上り、住建と電工事業がそれぞれ会社の柱の1つになっている。
拠点拡大も売上増に寄与。サービスセンター数は630カ所を超える。10年ほど前は、出店戦略は商圏人口30万人以上の都市を狙っていたが、現在は水工事業だけではなく住設や電工など新たな事業で売上構築が可能となった。商圏人口10万人以上でも成り立つ見込みであり、比較的小さい都市にも出店していく可能性を示した。
今期目標はグループ売上で3600億円。住建事業売上は1000億円を見込む。20カ所以上のサービスセンター開設や新規の顧客開拓を進めていく方針だ。
最後に渡辺社長は、社長就任にあたって大事にしている価値を次のように述べた。「1つは長期思考で事業にあたりたいです。対年度で業績をあげるというのは当たり前ですが、2050年で100周年を迎える。そこを見据え長期で考えていきたい。単なる物売りではなく生活インフラをささえるパイプ役となっていきたい。もう1つが『不易流行』。伝統的なものに新しい価値を作るという言葉ですが、渡辺パイプの基本的な価値に加え、外部環境に適用して新しい価値を作りたいです」

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